ジャック・ケルアック作『路上』が映画化されて話題になっている。そのオリジナル原稿が展示されているこの博物館が、ポン・ヌフ近くから今の場所に引っ越して来たのは2010年のこと。博物館が所蔵する7万以上の資料の一部が常設展示されている地階と、特別展のための地上階が設けられている。
今はメールで事が簡単に済んでしまうけれど、昔はもちろんすべて手書き、しかも署名入りの文面が重要だった。ルイ11世、フランソワ1世といった王たちの筆記は活字のように美しく整列している。おまけに「私が王だ」と言わんばかりに文面よりも大きく署名がされているのが印象深い。「汚い!」と娘が叫んだのがナポレオン1世の筆跡。フランスでは、判読困難な筆跡を「ハエの足pattes de mouche」と表現するけれどまさにその通り。ただワーテルローでの敗戦後イギリスに捕虜として連れて行かれたナポレオンが英語で「 What was it ?」なんてメモを残しているのが興味深い。
フランスの歴史、科学と音楽、文学と芸術。と三つの部屋に分かれた常設展スペースは広い。音楽部門では、ヴァイオリンでお馴染みのパガニーニの直筆楽譜があり、娘は食い入るように見入っている。メンデルスゾーン、ベルリオーズ、シューベルト、ドビュッシー…。たくさんあるなーと感服。科学部門では気球を発明したモンゴルフィエール兄弟の書簡やアインシュタインの手紙…、文学&美術部門もまあそれは豪華なメンバーで、これらが個人のコレクションであるということに驚いてしまった 。(海)
222 bd St-Germain 7e 01.4222.4848
www.museedeslettres.fr 火-日10-19h、
木は21h30迄。月休。7€/5€(12歳未満無料)。特別展『Sur le route』は8月19日 迄。