ベリー地方(現サントル地方)にある小さな村ノアンには、19世紀のフランス文学を代表する作家のひとり、ジョルジュ・サンド(1804-1876)が暮らした城館が残っている。
スキャンダラスな恋愛遍歴で知られるサンドだが、生涯に約100もの名作を残した職業作家であり、ふたりの子供の母であり、また、植物や花を愛する自然愛好家でもあった。4歳の時にここで暮らす祖母にひきとられたサンドは、亡くなるまでの68年間、この城館を生活のベースとし、いつくしんだ。処女作の『アンディアナ』をはじめ、その著作の実に約6割もがここで生まれた。パリから南へ約300km。作家にとって休息と創作の場であり続けたノアンを訪ねた。(さ)
構成・文・写真:アトランさやか
後にジョルジュ・サンドと名乗るオロール・デュパンは、17歳の時に祖母からこの城館を受け継いで、 250ヘクタールの敷地をとりしきる 城主となる。
パリの9区にあるロマン派美術館にも ジョルジュ・サンドの遺品が 数多く収められている。上の写真は オーギュスト・シャルパンティエによる、 サンドの一番有名な肖像画のオリジナル。