4月28日ニュースサイトMediapart に、11月8日のフランスサッカー協会(FFF)公式会議の内容の一部が明らかにされた。「フランスでは、身長があって、頑丈で、パワーがあるという、いつも同じタイプの選手を養成している感がある。現在、身長があって、頑丈で、パワーがあるのは、そうブラックたち。(…)13歳から14歳、12歳から13歳の選手を選抜する時に修正が必要だ。他の基準、私たち固有の文化に沿った方法が必要だ。(…)スペイン人が私に言ったことがある。『私たちにはそういう問題はない。黒人の選手がいないから』」。この発言は、なんとフランス代表のローラン・ブラン監督。
会議は続く。フランス・ジュニア代表監督のエリック・モンベルツ「(アルジェリアやアフリカ移民の二世など二重国籍保有者で)国籍を変えそうな少年たちの数を制限しようか?」、ブラン「私はその考えにまったく賛成だ」、FFFコーチ代表のフランソワ・ブランカール「そのために(こうした選手の)割り当て数quotaを決めるのはどうだろう」
人種差別ともみられるこうした考え方に対し、サッカー界や政界から手厳しい批判が続いた。「問題はローラン・ブランが人種差別主義者であるかどうかを知ることではない。問題は12歳の子供たちを差別することに賛成するということが許されるべきかどうかということなのだ」と元フランス代表リリアン・テュラム選手。「こうした考え方は私たちのチーム(オランピック・マルセイユOM)を糾弾している。OMの選手はアフリカ、マグレブ、南米出身だ。(…)どんな差別があってもいけない。スポーツは社会を反映し、とりわけサッカーは、誰にでも開かれたポピュラーなスポーツなのだから」とディディエ・デシャンOMコーチ。この「quota」が実現していたすると、現在のフランス代表からナスリ、ベンゼマ、エヴラ、サニャ、マンダンダといった主要選手が姿を消すこともありえる。
当初は会議に参加したことも否定していたローラン・ブラン、「会議での発言に、曖昧な点があったことは認める。私に関していえば、一部の人の感情を害したことについては謝罪したい」と火を消すことに大わらわ。ジュアノ=スポーツ担当相を中心にこの問題についての調査委員会が設けられた。
5月10日、スポーツ担当相は調査の結果を発表した。内容は、会議での発言は人種差別に近い不適当なものだが、法に触れてはいないので告訴はなし。ブラン監督は引き続きフランス代表の監督の座に残り、ブランカール氏などの処分はFFFにまかせるというもの。大山鳴動ネズミ一匹、という声が強い。(真)