Cathy de Monchaux -Studio, wounds and battles, desire is the reiteration of hope

パリの現代美術館の中で一番革新的だが、なんでもありなのがパレ・ド・トーキョーだ。ワンシーズンで数人の個展を同時に開催するので、何を見たのか印象に残らないことが多い。それでも、ひとつか2つ、心に残るものがある。
「体の基準 NORMES CORPS」と題したシーズン中、数々のアーティストのなかでも圧倒的によかったキャシー・ド・モンショー(1960-)展。ターナー賞の候補になったこともある著名な英国の彫刻家だが、フランスではあまり知られていない。今回はフランス初の回顧展。
布、金属、皮などを自在に組み合わせ、思いがけない性的な作品を作る。ポスターに使われたOnce upon a fuck(冒頭の写真)は、赤いビロードの布と金属を合わせたもの。ハートのようにも子宮のようにも見える形だ。赤は血を想像させ、中は柔らかく心地良さそうだが、中心を硬い金属が貫いている。性的暴行も意味しているのかもしれない。

妊娠しているような女性の足から根が、頭から枝が生えて、大勢の人が集まって森になる作品では、植物と人間が一体となっている。作品の根底には、ディスレクシア、自閉症、性的暴行、落馬事故など、モンショーの人生で起きたことがあるという。
本シーズン「体の基準」のテーマは、心と体の状態によって人を「健常」と「非健常」に分け、健常者を社会の基準とする健常者優先主義と、それを基にした生産性至上主義の社会だ。モンショーの作品ほど、企画の意図に合ったものはないが、解釈の幅は広い。それぞれが自分の体験に合わせて異なる読み方ができる。(羽)9/13まで

Palais de Tokyo
Adresse : 13 av. du Président Wilson, 75016 Paris , FranceTEL : 01 81 97 35 88
アクセス : Iéna
URL : https://palaisdetokyo.com
水〜月12h-22h (木-0h) 火休 13€/9€。
