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Lee Miller
写真家リー・ミラー(1907-77)の人生は波瀾万丈だった。
少女時代、アマチュア写真家の父から写真の手ほどきを受ける。20歳でファッション誌のモデルとして活躍した後、撮る側に回ることを決め、自分をモデルに写真を撮ったエドワード・スタイケンの助言に従って、パリで活動していたマン・レイの弟子になった。
パリ滞在中はマン・レイや彼の友人のシュルレアリストたちの影響を受け、前衛写真も撮り、モデルも続けるという活動ぶり。その後米国に戻り、スタジオを開いて著名人や高級品の写真を撮った後、エジプト人実業家と結婚してエジプトに転居した。

写真家としては、1930年前後のパリと、第二次世界大戦の写真が有名だ。しかし、その間のエジプト時代は何をしていたのか、どんな写真を撮っていたのかが、今ひとつわからず、そこだけ情報が抜け落ちていた感があった。世界大戦という特殊な状況下にいたとはいえ、モードや著名人の写真の世界にいた人が急に従軍写真家を志願するとは考えにくいからだ。この展覧会でで砂漠やシリア、ギリシャの廃墟、現地の人々を撮った写真を見て、エジプトという地の利を活用して新たな題材に挑戦したことがわかり、腑に落ちた。
ミラーの戦争写真は、戦闘中の兵士ではなく、その前後、または戦争という空間の中にいる人々を捉えている。衝撃性よりも人のいる周りの雰囲気がじわじわと滲み出てくるような作品だ。エジプト時代の写真がそこにつながっているように思う。従軍時代の資料もあり、一生を通じたミラーの幅広い活動を感じ取れる絶好の展覧会である。(羽)8/2まで


Musée d'art moderne de Paris
Adresse : 11 avenue du Président Wilson, 75016 ParisTEL : 01.5367.4000
アクセス : Iéna
URL : https://www.mam.paris.fr
火〜日 : 10h-18h 。17€/15€ 18歳未満無料。木曜日は21時閉館。
