
Vanessa Wagner – Philip Glass : The Complete Piano Etudes
ヴァネッサ・ヴァグネール (ワーグナー)は1973年レンヌに生まれたピアニストで、17歳でパリ高等音楽院を首席で卒業し、レオン・フライシャーやマレイ・ペライアといった巨匠に師事して音楽を磨く。ラヴェル、シューベルト、ブラームスのアルバムを出してきたが、最近は、現代音楽の、ミニマルでいながらも心象のゆらめきが感じられる作品にひかれているようだ。
2022年に相次いでリリースされた『Story of the Invisible』や 『Mirrored』ではエツィオ・ボッソの 『Before 6』*や坂本龍一の『Solitude』**をくり返して聴いてしまった。
彼女の最新アルバムは、ミニマルミュージックを代表するフィリップ・グラスの『The Complete Piano Etudes ピアノエチュード全曲集』。抽象的に見える音型の反復の中に、心の脈動が波打つ。ヴァグネールはその呼吸感を正確にとらえ、一音一音を美しくきわ立たせる。現代音楽などと敬遠せずに、好きな曲の間を行ったり来たりしていれば暑さを忘れる名盤だ。
前号で紹介した、ヴァンセンヌの森にある花公園 Parc Floral での Classique au vert でのヴァグネールのフィリップ・グラス演奏 (8/30)は聴きのがせない。(真)
* エツィオ・ボッソの 『Before 6』
** 坂本龍一「ソリチュード」
