
タベア・ツィンマーマン Tabea Zimmermann
1966年ドイツ生まれのタベア・ツィンマーマンは3歳からヴィオラを習いはじめる。それからはヴィオラひと筋、1982年、16歳でジュネーヴ国際音楽コンクールのヴィオラ部門で第一位となる。そのときの演奏がビデオで残っている*。カ―ル・シュターミッツの協奏曲を弾いているのだが、第1楽章の3分近いカデンツァのソロ(9’55〜)では、沈んだ哀愁をふくんだ演奏の成熟ぶりに、観客は息をのみ、伴奏する音楽家たちも感動の面持ちで見つめている。彼女が音楽の心をつかんでいるからだ。
自らヴィオラを弾いていたモーツァルトの傑作、ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲も聴いてみたい**。今や当代一のヴィオラ奏者と認められているツィンマーマンとヴァイオリンの新鋭ヴィルデ・フラングの名演奏で、二つの弦楽器がそれそれ異なる音色で呼応しながら、類のない音楽を生んでいく瞬間に立ち会える。
ツィンマーマンの新アルバム『Tabea Zimmermann』(写真)では、19世紀ロマン派の音楽がとり上げられている。ピアノのハヴィエル・ペリアネス、チェロのジャン=ギアン・ケラスが加わったトリオによる、ブラームスのクラリネット三重奏曲作品114の編曲が核になっている。三者の緻密な息づかいが美しいアンダンテでは最良のブラームスが聴かれる。(真)
