Nan Goldin 「This Will Not End Well」

写真家、ナン・ゴールディン(1953-)の50年にわたる創作活動を見せるフランス初の大回顧展。これまでは、恋とドラッグに浸った自分や友人たちの私生活を赤裸々に撮った作品から生きる切なさがヒリヒリと伝わり、彼女の写真を見るのは切ないなと思っていたが、今回、かなりの数を見て、その切なさの根底にあるものに触れられた気がした。
展覧会は2ヵ所で行われている。その会場のひとつ、グランパレでは5つのテントを設置し、スライドショーやビデオを見せる。42分間のスライドショー『The Ballade of Sexual Dependency』では、ゴールディンの仲間の日常、愛、パーティなどが映し出される。『Memory Lost』では、ドラッグ依存とそこから抜け出そうとする人々が描かれている。
シャルル・アズナヴールの歌『人々の言うように』が流れる『The Other Side』は、トランスジェンダーの友人たちへのオマージュだ。海の怪物セイレーンの歌に魅了された水夫が遭難するというギリシャ神話をもとにした『Sirens』は、ドラッグのもとでの恍惚がテーマ。一番良かったのは、ギリシャ神話を題材にして、美術館で撮った絵画や彫刻と過去の作品を組み合わせた2024年制作の『Stendhal Syndromeスタンダール症候群(優れた芸術作品の前で意識を失うこと)』で、ゴールディンの成熟と洗練がが感じられる。
もう1ヵ所の会場、サルペトリエール病院の礼拝堂での『Sisters, Saintes, Sibyls』は本展のハイライトだ。当時の社会や親との葛藤で神経を病み、若くして自殺した姉バーバラの生涯を家族の元に残された写真と自分の写真、インスタレーションで表現した。彼女の作品にある生きる切なさの原点がここにある、と思った。(羽)6/21まで。

▶︎ Grand Palais
(入口: Square Jean Perrin)
17 av. du Général Eisenhower 8e
10h-19h30、金10h-22h、月休。
17€/13€。
▶︎ Chapelle Saint-Louis de la Salpêtrière
47 bd. de l’Hôpital 13e
火〜土:16h-20h、日:11h-19h、月休。
無料、予約不可。

Grand Palais :Entrée Square Jean Perrin
Adresse : 17 av. du Général Eisenhower, 75008 Paris
