
アミアンのピカルディ美術館で開催されていたアルベール・メニャン展が、現在ル・マンのテッセ美術館に巡回して開催されている。ル・マン市内には、この画家の名を冠した「アルベール・メニャン通り」があるが、ベル・エポック期に活躍したこの画家が1845年にル・マンから北へ15kmにある小さな町で生まれたことは、地元の人にも意外と知られていない。
幼少期に一家はパリへ移住し、若き日のメニャンは法律を学びながら画家としてのキャリアを着実に築いていった。1867年にサロンでデビューし、その後も生涯にわたり作品を発表し続けることとなる。

旅とデッサン
メニャンは生涯を通じて旅を愛した画家だった。スペインやイタリア、とりわけヴェネツィアには何度も滞在し、歴史画や風景画を制作。また屋外制作を好み、現代の写真を思わせる大胆な構図でル・マン旧市街を描いたデッサンは、当時の様子を伝える貴重な資料でもある。

写実と幻想
展示の中でも印象的なのが、海をテーマにした作品群だ。ブルターニュで海藻を採取し、クラゲやサンゴを観察して描いた。やがて、人魚を題材とした幻想的な作品へと発展していく。また、パリ9区ラ・ブリュイエール通りのアトリエの庭に咲く花を描いた作品群からも、写実的な中に幻想的な美を感じさせる。

名声を決定づけた歴史画
メニャンを一躍有名にしたのは、1066年のノルマン征服を題材とした大作『ノルマン艦隊の出発』。去りゆく艦隊を遠景に、残された人々の悲しみや絶望を前景に描くことで、歴史的出来事を人間の感情にフォーカスして見事に表現している。
また、『クロヴィス2世への貢物』では、幼くして王位についたクロヴィス2世の退屈そうな表情や、周囲の大人たちの偽善的な態度が細やかに描かれ、メニャンの鋭い観察眼とユーモアが感じられる。

装飾画家としての成功
メニャンは歴史画だけでなく、装飾芸術の分野でも大きな成功を収めた。ベル・エポック期を代表する装飾画家の一人として、リュクサンブール宮のタペストリー制作、オペラ・コミックの装飾、さらにパリ・リヨン駅内のレストラン「ル・トラン・ブルー」の装飾にも携わった。

歴史画家・装飾画家として生涯活躍したベル・エポックの巨匠、アルベール・メニャンの作品の魅力を発見することができる、貴重な展覧会だ。
鑑賞後は、美術館より徒歩数分のところにある旧市街を散策したい。メニャンが描いたデッサンの世界がそのまま残る街並みは、当時へタイムスリップしたかのような美しさに満ちている。(た)9月27日まで。


Musée de Tessé
Adresse : 2 Av. de Paderborn, 72100 Le Mans , FranceTEL : 02 43 47 38 51
アクセス : SNCFルマン駅よりトラムT2、Quinconces-Jacobins下車。
URL : https://www.instagram.com/museesdumans/
月休、10h-12h30/14h-18h 。入場無料。



