
ベヴィンダも63歳。みんな歳をとるのだから当たり前か…。1994年のファーストアルバム『Fatum』では若々しくポルトガル語で歌っていたけれど、ファド好きのぼくには少々ポップすぎて、ベヴィンダはあまり聴かなくなった。「2歳のときからずっとフランス住まいで、ファドの伝統とは遠かったから」と語っていた。そして昨年新しいアルバムが出て、もうすぐパリ公演というので、あわてて聴いてみた。
一曲目から 『Fado do Manuel』と題しているように…もうすっかり本物のファドだ。タイトル曲の 『Gêmeos』というバラードには芯からしびれた!ファドと片づけてはいけないような彼女自身の世界が広がっていく。声にいぶし銀のようなくもりがあり、その中でファディスタならではのこぶしが表情豊かだ。『Cansaço』にはアマリア・ロドリゲスを思わせるサウダーデ (哀愁)が流れる。
今回のパリ公演、ジル・クレマンとミシア・フィッツジェラルド=ミシェルというギターの名手二人が演奏するというファドの伝統的な伴奏で、期待がふくらむ。早めに予約してくださいね。(真)
6月18日 開場20h、開演20h30。25€/23€
Studio de l’Ermitage :8 rue de l’Ermitage 20e 01 .4462.0286 M°Ménilmontant
www.studio-ermitage.com
