Chefs-d’œuvre de la Galerie Borghèse
ローマのボルゲーゼ美術館は予約なしでは入れないほど人気の美術館だ。イタリア・ルネサンスとバロック美術が中心で、名門貴族ボルゲーゼ家のシピオーネ・ボルゲーゼ枢機卿が建設した。ここにシピオーネから始まる一族の美術コレクションが集められている。ほとんど外国に貸し出されたことがない名品が今回、パリで見られる。展覧会のタイトルが示す通り、まさに傑作揃いだ。
同館が所蔵する複数のカラヴァッジョからは「果物籠を持つ少年」が貸し出された。ダ・ヴィンチの「モナリザ」を意識したと思われるラファエロの「一角獣を抱く貴婦人」は強い視線を向けた若い貴婦人の衣装の描写が見事。想像の動物、一角獣の前脚を指ではさむ仕草に妙にリアリティがある。
パリ五輪開会式でダ・ヴィンチの 「最後の晩餐」の再現(実際はそうではなかったが)が冒涜的な演出だと話題になり、改めてダ・ヴィンチ版が脚光を浴びた。ユダが小さかったダヴィンチ版と比べると、本展のヤコポ・バッサーノ版ではユダが居眠りをしており、キリストより大きく扱われている(冒頭の写真)。
ルーベンスの「スザンナと長老たち」、ティツィアーノの「キューピッドに目隠しをするヴィーナス」など、心に残った作品は多いが、一番気に入ったのは、バロック美術の巨匠で彫刻家としても名高かったベルニーニが40歳前後で描いた自画像だ(下の画像)。顔の左側は暗く、右側に光が当たっている。右目の目力と口元が生き生きと描かれている。画家の心の中が伝わるような真摯な自画像だ。色数は少なく、背景と服はざっと描かれており、近代絵画に近い。(羽)
Musée Jacquemart-André
Adresse : 158 bd Haussmann, 75008 Paris , FranceTEL : 01 45 62 11 59
アクセス : Miromesnil / Saint-Philippe-du-Roule
URL : https://www.musee-jacquemart-andre.com/fr
予約がベター。無休。10h-18h (土日-19h 木-22h) 18€/ 17€/ 15€/ 9.5€ ボルゲーゼ展は来年1/5まで。