「おいしい」の先を行く、組み合わせの妙を模索する。
近年、パリでもレストラン使いができる食事のおいしいワインバーが多く誕生している。中でも、料理レベルの高さからファンを増やしているのが、9区ピガールにある228 litresだ。ナチュラルワインを中心としたワインショップLa Cave Pigalleが運営し、常時500種以上のワインをオンリスト。今年2月のシェフ樋渡直久さんの本格参加により、レストランとしての機能をさらに高めている。
樋渡さんがパリに来たのは8年ほど前。東京の名店オーハラ・エ・シーアイイーで約4年働き、フランス料理の技術を身につけた。「ソースやフォンなど、様々な仕込みを学び、自分の料理の基礎を固めました」。この店では食材発注の取りまとめはフランス語で行うのが慣習で、「素材に関するフランス語の知識が渡仏後とても役に立った」という。
その後、10区Abri(閉店)に入店。半年後にスーシェフとなり、2022年9月の閉店まで働いた。「お客様が料理を食べたときに、これはなんだろう?と気にかけ、考えてもらえれば勝ち」というシェフ沖山克昭さんの考えは、樋渡さんにも大きな影響を与えた。「ハーブの香り、食感などに気を配り、統一感のある料理を目指しています」。各国の料理から得たアイディアを組み合わせるが、根底にあるのはあくまでクラシックなフランス料理。「そこに、いろんな食材同士のつなぎ方、スパイス使いなどを工夫しています」。日本の食材もそのまま加えることはない。例えば鯖の一品には、山羊チーズのパンナコッタ、ビーツなどの中に 「つなぎ」として昆布のピクルスを加え、「食べると決して和食を感じさせない」ようにアレンジしている。「おいしいと思ったときにストレートな反応をしてくれる、この国の人たちが好き。今後もチャレンジしながら、自分の料理がどう評価されるかを見ていきたいです」。(恵)
228 litres(228 リートル)
Adresse : 3 rue Victor Massé, 75009 ParisTEL : 01.7160.5157
アクセス : M°Pigalle
URL : https://228litres.fr
月〜土 18h30-0h 日休。 前菜13€-、メイン22€-、デザート10€-。ワインはグラス6€-、ボトル35€-。