情熱のある限り、フランス料理を作り続ける。
オルセー美術館にほど近い、リュー・ドゥ・バックそばに昨年3月オープンしたAkabeko(アカベコ)。オーナーシェフの七海保男さんは、50年以上のキャリアを持つベテラン。店名は、故郷福島県の民芸品「赤ベコ」からだ。
七海さんが、フランスの地をはじめて踏んだのは、22歳のこと。すでに日本でフランス料理の仕事についていたが、本場のフランスで学ぶために渡仏。8年間にわたってLe Moulin de Mougins、Lucas Carton、Troisgrosといった名レストランで修行を積む。その後帰国し、ホテル西洋銀座(閉業)の立ち上げに参加。39歳のときに、ふたたびフランスへ戻ってきた。
パリでは、7区にあるMaison de l’Amérique latineのレストランのシェフを長く勤めた。2000年に、御子息のケンさんとともに、レピュブリックにビストロを開くが、「リーズナブルに自分の料理を食べてもらいたかったけど、やっぱり心に深く抱いていたフランス料理への情熱を忘れられなくて」。ガストロノミックな店を目指し、家族とともに、いまの店をオープンした。
Akabekoの料理には、日本の調味料などの食材も積極的に使う。「昔だったらバカにされたけどね、こんなのフランス料理じゃない!って(笑)。でも、いまの料理の世界は自由。クラシックだけでなく、これまでと違った、面白いこともたくさんできる。日本人のルーツとフランス料理への愛を掛け合わせて、時代に合ったクリエティブをしていきたい」。
経験を活かし、若い料理人たちに技術を教えて育てることにも、やりがいを感じている。「50年間はあっという間。料理しかないけど、何の後悔もないし、いい人生を送っている。フランス料理への情熱が消えない限り、この仕事をずっと続けるつもりです」。(恵)
Akabeko
Adresse : 40 rue de l'Université, 75007 ParisTEL : 01.4261.2664
アクセス : M°Rue du Bac
URL : https://akabekorestaurant.com
火〜土 12h-13h30/19h-21h45 日月休 ランチコース69€(3皿)〜/ディナーコース 139€(7皿)