環境に配慮した資材選択と屋上庭園。
2025年4月13日から10月13日まで大阪の夢洲で開催される万博のフランス・パヴィリオンの概要が1月9日にフランス外務省で発表された。外務大臣付貿易・誘致・在外仏人担当相のオリヴィエ・ベシュト氏とジャック・メール大阪万博フランス館総監督(仏博覧会公社Cofrex社長)が日仏関係者や報道陣を前にプレゼンテーションを行なった。
20回以上の訪日経験を持つベシュト氏は、日仏の長い友好関係を称え、入口正面で日本館の近くという仏パヴィリオンは最高のロケーションと評価。メール氏は、気候変動や紛争など緊張と危機の時代にあって、自分への愛、他者への愛、自然への愛(+日仏間の愛)という「愛の賛歌」をフランス館のテーマにすえ、それをパヴィリオンに反映させたと説明した。
設計はコンペを勝ち抜いたフランス設計事務所Coldefyとイタリアのデザイン事務所CRA-Carlo Ratti Associati。ファサードの外に半分突き出したようなゆるやかなカーブを描く階段は舞台をイメージしたもので、外の眺めを楽しむバルコニーにもなる。メタル製の構造パーツはプレハブユニットでリサイクルや再利用が可能。また、館内の換気と気温調整に一役買う屋上庭園もあり、エネルギー消費を抑える設計だ。
300万~500万人の入場者が見込まれる仏パヴィリオンは、大阪万博のテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」の3つのサブテーマのうちの一つ「いのちに力を与える」ゾーンに位置する。オービュッソンで制作された「もののけ姫」のタピスリーを入口に配した常設展(館内1000㎡)は運営参加協賛ゴールドパートナー4社(LVMH、保険AXA、アルザスワイン、抗酸化物質・化粧品のニナファーム)を中心にした展示となる。
それに加え、国連の17の持続可能な開発目標(SDGs)にちなんだ月替わりの企画展(200㎡)が、伝統工芸やテクノロジーなどをテーマにして開催される。詳細は未定だが、1階入口の正面にはパン屋兼パティスリーが大きなスペースを占め、3階のビストロでもフランスのガストロノミーを堪能できそうだ(いずれもメゾン・カイザーが運営)。ブティックではそうした仏食品やフランスの職人芸とノウハウが凝縮されたメイド・イン・フランス製品を買うことができる。
プレゼン後のカクテルに供されたのはもちろんアルザスワイン。アルザスワイン業際評議会(CIVA)のセルジュ・フレッシェール会長はプレゼンでも日仏友好関係よりも古い160年の日アルザスの関係を強調していた。仏パヴィリオンでは日本人の大好きなアルザスワインが大いに堪能できそうだ。ちなみに、仏パヴィリオン建設の総予算は国の拠出する4200万€を含む5300万€超。日本では建築費が高いために2020年ドバイ万博より50%増だという。(し)