自分の味を信じて、まっすぐに作る。
Rayonnanceを訪れたのは、バカンスシーズン真っ只中の頃。静かなカデの街に、明るいファサードがまばゆく映える。この店のシェフ・パティシエールは早戸由紀さん。ディレクターの八谷ルミさんとともに、この8月に念願のパティスリーをオープンした。
東京で生まれ育った由紀さん。小さな頃からお菓子作りが好きで、短大では食と栄養を専攻。その後専門学校で製菓を学ぶ。卒業後は千葉のパティスリーを経て、自由が丘のパリ・セヴェイユで10年勤めた。仕事に慣れてきた頃、店でシェフたちが語る「フランスらしさ」を感じてみたくて、休暇を取って3泊5日でパリ旅行へ来て、本場の味に触れた。退職後にはヴェルサイユのオー・シャン・ド・コックで短期間働き、初めて現地の食材に接し、フランスで経験を積もうと心に決めた。
日本に戻り再渡仏を試みるも、ビザ取得の高い壁にぶつかり、落ち込む日々が続いた。そんなとき、16区Pagesの手島竜司シェフ夫妻から声がかかる。Pagesの日本でのイベントを手伝った縁で実力が認められ、同店のシェフのポストを任されることになったのだ。
シェフ・パティシエールとなり、モノを生み出す大変さを実感した。「フランスは、果物もハーブも日本とは味が違う。砂糖も日本のものと特徴や濃さが違い、これまでの私のレシピは役に立たない。自分の舌を信じて、レシピを再構成していきました」。苦労は多かったが、お客様にデザートを褒められると、大きな喜びを感じた。
そして今夏、自身の店をオープン。「私のケーキは線がまっすぐで、角がキマっているのが特徴。射し込む光のイメージに重ねて、店名(注:日本語で『輝き』)を決めました。奥深い味わいの焼き菓子を中心に、お客様に喜んでいただけるアイテムを揃えていきたいです」。 (恵)
Rayonnance(レヨナンス)
Adresse : 17 rue de Maubeuge, 75009 Paris , FranceTEL : 01.8861.1965
アクセス : M°Cadet/ Notre-Dame de Lorette
URL : https://www.patisserie-rayonnance.com
詳しい営業日・時間はウェブサイト またはインスタグラムをご確認ください。https://www.instagram.com/patisserie_yuki_lumi/