『 Sarah Bernhardt, et la femme créa la star 』
19世紀から20世紀初頭にかけて世界中に名をとどろかせた名女優サラ・ベルナール(1844-1923)。舞台衣装、写真、美術作品、ビデオなど400点で彼女の私生活と舞台生活をたどる大展覧会である。
高級娼婦をしていた母の家に来ていた貴族がコンセルヴァトワール入学を薦めたことから、女優への道が開けた。ハムレットのような男役も演じて観客を魅了し、「ラ・ディヴィーヌ(神々しい女性)」と呼ばれた。北米、南米、ロシアにまで公演に出かけ、スターとしてのイメージ作りを怠らなかった。
新しいもの好きで、ハリウッド映画に出たこともあった。経営の才能もあり、シャトレにあった劇場を「サラ・ベルナール劇場」と命名して運営し、自ら出演した。今の「テアトル・ド・ラ・ヴィル」である。当時の美意識からすれば痩せすぎで美しいとはいえなかった彼女が大スターになったのは、演技の才能と運だけでなく、エネルギーの大きさ、飽くなき好奇心などのおかげだったようだ。
会場には豪華な舞台衣装やミュシャが描いた彼女のポスター、肖像画が並ぶ。驚いたのは美術家の顔も持っていたことだ。
1870年代、取り巻きには芸術家が多く、彼らの影響で絵と彫刻を始めた。特に彫刻はプロ級で、何年もサロン (官展)に出品したほどだ。制作のためにアトリエ兼住居を建てるほど打ち込んだ。
晩年はブルターニュで拾った海藻を型取りしてアール・ヌーヴォー風の斬新な彫刻を作った。何人分もの人生を生きたような彼女に関わる展示品の中で、これが一番光っていた。(羽)
Information
場所:Petit Palais – Musée des Beaux-Arts de la Ville de Paris
日時:2023年4月14日〜8月27日。月休、火〜日 10h-18h。金土は20hまで開館。
入場料:一般 15€、18歳以下は無料。