4/1〜 5/28 : Printemps de l’Art Déco
オー・ド・フランス地域圏と呼ばれる北フランスには、サン・カンタンのように、第一次世界大戦後の復興時に建てられたアール・デコ様式の建築物が随所にあります。
なかにはルーベ Roubaixにある、1932年築のプールが美術館になっているラ・ピッシーヌ La Piscine (冒頭の写真)や、やはりリール近郊クロワCroixの、繊維工場の経営者のためにロベール・マレ=ステヴァンスが設計したカヴロワ邸など常時見学できる有名な場所もありますが、無名のものも多数あります。
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オヴニー「近代建築の名作、 カヴロワ邸を訪ねる。」号はこちらからご覧ください。——————
そんな知られざる文化財を発見してもらおうと、4月から5月にかけて開催されるのが 「アール・デコの春」のイベントです。
この地域圏を構成する5県19の町を中心に、普段は入れないアール・デコ建築の内部をガイドつきで見学、展覧会、講演会やアール・デコスタイルのアクセサリー作りといったアトリエなど。ほかにも、Bruayでは、1932年にオープンした炭鉱労働者とその家族のために造られたプールで夜の水浴をしようというイベントや、Béthuneでは、「ビールとアール・デコ」がテーマのソワレなども。プログラムと地図を見ながら旅のプランを練るのも楽しそうです。
多くの建物にはステンドグラスやモザイクで、町にとって大切な人物や出来事が描かれていることも多く、その土地の”物語”が隠されています。また、地元の建材を使い、この地方独特の建築様式を取り入れた、オー・ド・フランスならではのアール・デコ建築が堪能できるはず。今年は、この地方で活躍し、国際的に有名になったアール・デコの建築家、デザイナー、モザイクやステンドグラス作家がテーマの展覧会もイベント参加の9都市を巡回します。