国民が猛反対している年金改革法案を政府は3月16日、強行採決した。それに対して中道Liot、極右RNがそれぞれ内閣不信任決議案を提出したが、20日の審議で結果的にはどちらも否決となった。しかし、Liotの不信任案には党派を超えて野党が票を投じ、また、与党と提携して改革を進めるとしていた保守等LRの3分の1の議員も投票。内閣解散には過半数287票を要するが、それに9票不足という僅差だった。
しかしその後も、年金改革法案の引き下げ、ボルヌ首相の辞任などを求める声は止まない。左派を中心とする200人ほどの議員は20日、RIP法案(共同発議国民投票 référendum d’initiative partagée)を憲法評議会に提出。9ヵ月間で有権者の1割にあたる約487万人の署名が集まれば、定年年齢を62歳から64歳に引き上げることに関して国民投票が行われるという法案だ。
力ずくで改革を推し進める政府に対して、強行採決の晩から毎晩行われるようになった国民の抗議行動は激化し警察との衝突も多発。一方、ストライキも続いている。マルセイユを首府とするブッシュ・デュ・ローヌ県では、続く製油所のストの影響でガソリンスタンドに長蛇の列ができ、政府は徴用を開始。ゴミ収集人のストも来週まで延長されることになった。
22日13hにはマクロン大統領のテレビ演説が予定されているが、大統領は今晩の野党議員との会合でも« les meutes ne l’emportent pas sur les représentants du peuple » (群衆の意見は国民の代表が決めたことに勝るものではない、のような意)と語ったと報じられている。改革を進める姿勢は変えないどころか、1月から反対意見を抗議行動で表明してきた労組や国民の怒りに火に油ぐようなコメントで、23日の全国的な抗議行動も硬化しそうだ。(集)