Albrecht Dürer, Gravure et Renaissance
ルネサンスの巨匠、デューラー(1471-1528)の版画とデッサンを200点以上展示するデューラー三昧の展覧会。パリ国立図書館(BNF)と、会場であるシャンティイ城内にあるコンデ美術館の所蔵品で構成する。
デューラーは、神聖ローマ帝国の都市ニュルンベルク(現在のドイツ)の金銀細工師の家に生まれ、少年時代から芸術的才能を発揮した。展覧会場ではモチーフの扱い方や技法の変遷が時系列で見られる。イタリア旅行中は、構図や人物の描き方などでイタリア人画家の影響を受けた。手本になった作品とデューラー作品が並べて展示してある。版画の全てを卓越した技術で網羅し、それまで下に見られていた版画を絵画と同等の地位に高めた。有名になって、模倣者が続出。本物と模倣の比較もある。
この展覧会のポスターにも使われた「海の怪物」(冒頭の画像)は、老いた半人半魚の男性が身分の高い女性をさらっていく場面を表している。背景の城はニュルンベルク城だという。慌てて岸に駆け寄る召使らしき男性と、事件を知らずに呑気に水浴を続ける女性たちも描かれており、細部まで楽しめる。
晩年は、自らのプロポーション理論を「人体均衡論四書」で表した。しかし、若い頃の作品には6頭身や下半身が短い人もいる。近寄り難い巨匠も、最初から完璧ではなかったのだ、とちょっと安心する。(羽)10/2まで。
Château de Chantilly, Salle du Jeu de Paume
Adresse : 60500 Chantilly, Chantilly , FranceTEL : 03.44.27.31.80 月〜金 9h-13h / 14h-17h
URL : https://chateaudechantilly.fr/
火休、10h-18h。展覧会+庭園 10€。パリから列車 TER+展覧会+城+庭園 25€の「TER Chantilly」パックあり。 Gare du NordからTERまたはRER(D線)で25〜45分。Chantilly-Gouvieux下車。徒歩25分。駅から市内を回る無料バス運行。