気負わず、自然に、自分が「食べたい」皿を出す。
La Scène Thélème 高柳好孝さん(40歳)
街中に劇場がひしめき合うパリでも、ガストロノミックなレストランに舞台がある店は、おそらく凱旋門そばの La Scène Thélème だけだろう。オーナーの演劇とガストロノミーに対する愛情がたっぷり詰まったレストランは、今年ミシュランの1つ星を獲得。この店のシェフを務めるのが、高柳好孝さんだ。
静岡に生まれ、6年間東京のフランス料理店で働いた後、フランスを目指した。Le Grand Vefour、Le Beurre Noisetteなど10店ほどを経てLe Meuriceへ。その後、Pavillon Ledoyen でのスー・シェフを経て、Agapéでシェフとなった。「オーナーは、どちらかというと放任主義。比較的、料理人の作りたい皿を作らせてくれたので、自分自身の料理を模索することができました。当時、よく作っていたオマールとリー・ド・ヴォーの温前菜、パブロバのデザートは、今の店でもレパートリーに入っています」。
現在の店では、フレンチに和の要素を加えた料理を提供。「パリには多くのシェフがいるので、お客様が店を選ぶきっかけとなる要素が必要。だから、日本人の自分が自然に『いま本当に食べたい!』と思う、和やアジアの要素を組み合わせた、重すぎない料理をお出ししています」。バターはほとんど使わず、各テーブルにもパン用バターを出さない。「全体に軽めの味わいと量で、どなたでも楽しく食べきっていただけるコース内容」を心がけているという。
今後の目標は「日々お客様に喜んでいただき、常に満席にすること」。「月並みですが、一番大切です。あと、ここ半年ほどは、スタッフの労働時間の短縮など、負担を減らす努力をしています。お客様に喜んでいただくためには、スタッフの満足が不可欠。店のメンバー全員が楽しくお客様を迎えられる店を作っていきたいです」。(恵)
La Scène Thélème
Adresse : 18 rue Troyon, 75017 ParisTEL : 01.7737.6099
アクセス : M°Charles de Gaulle-Etoile
火〜金 12h30-14h /19h30-20h30、 土19h30〜20h30、日月休 〈ランチ〉コース65€/85€ 〈ディナー〉コース115€〜、ムニュ・デギュスタシオン139€