Gallen-Kallela, Mythes et nature
アクセル・ガレン=カレラ(1865-1931)は、フィンランド近代絵画の巨匠だ。印象派、自然主義、象徴主義の影響を受けた。この展覧会では、その中でもフィンランド神話「カレワラ」を中心とした象徴主義的な作品と風景画を展示している。
当時この国はロシア皇帝を大公とする国で、完全な独立国ではなかった。高まる独立運動、民族主義の影響を受け、ガレン=カレラはフィンランド人としてのアイデンティティを追求した。それがその神話と風景にあらわれている。ウクライナ戦争の真っただ中、100年前の画家の思いが急に現代的な意味を帯びてくる。
彼の作品には説明できない不思議さがある。月を背にして立つ少女は、神を見たような恍惚とした目をしている。クエスチョンマークの形の植物を顔の前に持つ女性の絵は何を意味するのか。見る人が考えてほしい、と言わんばかりだ。不思議さは風景画にもある。雪に覆われた岩は人体の窪みと滑らかな手触りを感じさせる。生物、鉱物、気候が一体となったような作品だ。「汎神主義者だった」と言うコミッショナーの言葉で納得した。
エコロジー意識も高かった。炭鉱から煙が出、石炭を運ぶ船が湖を渡る風景を描いた作品は、環境汚染を暗に告発している。(羽)7/25 (月)まで
Musée Jacquemart-André
Adresse : 158 boulevard Haussmann, 75008 ParisURL : http://www.musee-jacquemart-andre.com
休館日なし、10h-18h (月-20h30)、 入館料9.5-15€ 要予約 01.4562.1159