3月25日から6月8日まで、グラン・パレで大規模な「ポンペイ展」が開催されるはずだった。残念ながら見られそうもないが、グラン・パレのウェブサイト上の「L’exposition Pompéi chez vous(『ポンペイ展』を自宅で)」で展覧会のエッセンスを味わうことができる。サイトで真っ先に見たいのは40分強のオーディオガイド。これで展覧会の構成と主な展示品がわかる。ポンペイはローマ帝国時代の79年、ヴェスヴィオ火山の噴火で全滅した南イタリアの都市で、商業とワイン造りで栄えていた。展覧会の目玉は2017〜19年の調査で発掘された「庭のある館」の再現と、「オリオンの館」にあったモザイク画だ。前者は3Dでポンペイ市民の生活を見せる。一家の守り神を祀る小さな祭壇もある。ポンペイ人は朝働き、午後は娯楽に費やした。昼食はファストフードのような店で軽くすませ、夜は地中海式食事を長椅子に横たわって食べた。なんともゆったりとした生活ぶりが伝わってくる。オリオンの館のモザイク画は、ギリシャ神話に登場する狩人オリオンが蝶のような羽で天に登る瞬間と、オリオンのライオン退治を表す図柄の2つを合わせた傑作だ。(羽)
〈『ポンペイ展』を自宅で〉:
www.grandpalais.fr/fr/expo-pompei-chez-vous