ダヴィンチ、ミケランジェロと並ぶ、イタリア・ルネッサンスの3大巨匠の一人、ラファエロ・サンツィオ(1483-1520)が没して500年。本来なら盛大なイベントがあるはずだが、コロナウィルスでそれどころではなく、なんともかわいそうだ。 せめてデジタルで作品を見てほしいと、世界の美術館の予約サイトがヴァーチャル展覧会を始めた。国別、美術館別に画像が見られる。
ラファエロはイタリア中部ウルビーノ公国の宮廷画家の家に生まれた。幼い頃から絵の才能を発揮し、十代でウンブリア派の画家ペルジーノに弟子入りした後、21歳で匠の称号を得た。早熟の画家は他の画家から取り込めるものは吸収し自分の作風を作り上げた、統合の天才でもあった。1504年頃から約4年間フィレンツェに滞在しダヴィンチの影響を受けた。この頃に制作した聖母子像は、柔らかな表情で優雅な聖母マリアと、幼子イエス、洗礼者ヨハネの3人を調和の取れた三角形で構成した傑作だ。その一つがルーヴル所蔵の「聖母子と幼き洗礼者聖ヨハネLa Belle Jardinière」だ。背中を支えられながら母マリアの左手と膝に触れて彼女を慕うイエスと、それを見上げるヨハネの愛らしさ、気品あふれるマリアはラファエロならでは。ラファエロは25歳でローマに出、教皇庁の壁画など大きな仕事を次々とこなしたが、1520年4月6日、37歳の誕生日に惜しくも急死した。
シャンティイのコンデ美術館で3月に始まった「シャンティイのラファエロ展」も、途中で打切りとなってしまったが、美術館は展覧会のビデオ「Raphaël à Chantilly」を作成し、YouTubeに掲載(下)。キュレーターのマチュー・デルディックさんの案内で、ルーヴルに次ぐラファエル作品を収蔵するコンデ美術館での展覧会を楽しめる。とはいえ外出禁止が解除された後、再開することを祈るばかりだ。
他にもルーヴル、ストラスブール美術館などで本物を見て、筆遣いや色合いを楽しんでほしい。(羽)
ヴァーチャル展覧会のサイト:
「ラファエルを祝って Célébrez Raphaël」
www.musement.com/fr/musee-virtuel-raphael