20世紀の大物画家、フランシス・ベーコン(1909-92)の、1971年のパリ展覧会から没するまでの60点を主に集めた。1971年の展覧会の直前に滞在先のパリのホテルで亡くなった恋人、ジョージ・ダイアーへの思いを描いた作品が最初に出てくる。ダイアーは、夜間ベーコン宅に忍び込み盗みをはたらこうとしたが、床に落ちてベーコンに発見された。「自分のベッドに入るか、監獄に入るか」と迫られ、前者を選び、そのまま伴侶になった男性だ。彼の死は1971年以降の作品の変化に大きな影響を与えた。本展はベーコンの愛読書の中から6作家を選び、各自の1冊を作品と付き合わせて展示している。ダイアーの肖像はここでも顔を出す。本はギリシャ悲劇のアイスキュロスに始まり、ニーチェ、ジョルジュ・バタイユまで。絵に面した小部屋で俳優の朗読を聞いてから見るといい。作品説明はあえて付けていない。見る側にはかなりの想像力と教養が要求されそうだ。(羽)
ポンピドゥ・センター : 2020年1月20日(月)まで。