ニコラ・ユロの例を出すまでもなく、世界中の自然と人の営みを撮っているとエコロジストにならずにはいられない。マングローブが作るハートの形を撮った航空写真で有名なヤン・アルテュス=ベルトランもそのひとり。「グッドプラネット財団」を作り、炭素排出を減らすために植林や再生エネルギーを支援している。8月にアマゾン森林火災に対してLVMHが1千万ユーロの支援金を申し出た裏には、彼の働きかけがあった。
「私たちが後世に残すレガシー(遺産)はあるのか」と問いかける展覧会は、写真家としての集大成だ。大量の絨毯が並ぶマラケシュ(モロッコ)の写真はパウル・クレーの絵のように美しい。しかし、これを織ったのは教育を受ける機会のない13万人の少女たちだ。曲がりくねった黄色い線が作るボルネオ島(インドネシア)の抽象絵画のような風景は、パーム油を採るためにできたものだ。航空写真の美しさに感嘆しつつ、美の裏に何があるのかを深く考えさせられる。(羽)12月1日まで。
Le Toit de la Grande Arche
Adresse : 1 parvis de la Défense, 92044 Paris La Défense CedexURL : www.lagrandearche.fr/
地下鉄またはRER A線La Défense Grande Arche駅下車。毎日10-19h、15-7€。