レオナルド・ダ・ヴィンチ没後500周年の今年、シャンティイ城が、所蔵する 「裸のモナリザ」と題された木炭デッサンを公開した。科学的な分析の結果、ダ・ヴィンチのアトリエで制作されたことがわかり、ダ・ヴィンチ本人が描いた可能性が高いという。しかし、鳴り物入りで紹介された絵を見ると…解剖学を熟知していた巨匠が描いたとは思えない、なんとも不自然な人体だ。肩幅が狭すぎる。腕が太すぎ、右手が大きすぎる。右半身の遠近の取り方がおかしい。顔と体が合っておらず、頭だけ取って付けたようだ。油彩の下絵として制作したものらしく、デッサンにしてはサイズが大きい。これを元に、ダ・ヴィンチのアトリエで弟子たちが描いた油彩の女性像も展示されている。背後の風景はモナリザの背景に似ている。展示後半は、「裸のモナリザ」がフランソワ一世時代の仏美術界に及ぼした影響として、宮廷画家フランソワ・クルエの 「入浴する貴婦人Dame au bain」とそのヴァリエーションが展示されている。「裸のモナリザ」のおかしなデッサンがなぜこれほど影響を及ぼしたのか。デッサンの作者よりもそちらの方が謎だ。クルエが描いた宮廷女性の繊細な肖像デッサン展も城内で同時開催中。10月6日まで。(羽)
Domaine de Chantilly
Adresse : 7 rue du Connétable , 60500 ChantillyURL : http://www.domainedechantilly.com
パリGare du Nord からTERで25分。Chantilly-Gouvieux駅下車。 10h-18h。10€/8€ 庭園見学付。7月17、18日は特別閉園。