Saline Royale d’Arc-et-Senans
ブザンソンから電車で約30分、のどかな田園地帯にあるアルケスナン王立製塩所跡。ルイ15世の命により建築家クロード=ニコラ・ルドゥが設計し、1779年から1895年まで操業していた施設は、工場建築とは思えない、神殿のような優雅さを醸し出している。産業施設として初めて、1982年ユネスコの世界遺産に登録された。
フランス革命期、王室付きの建築家でありながら啓蒙主義や神秘主義などの影響を受け、独自の建築論を築いたルドゥ。製塩工場を中心に所長と労働者の住居、生活に必要な諸施設や畑などを備えた職住一体の共同体的工業都市を構想した。
当初の案では150の建物を円形に配置していたが、予算の都合により半円のみで実現された(写真)。この未完の理想都市をこの夏、ルドゥが遺した設計図をもとに半円を円にする「Le Cercle Immense 巨大な円」計画が完成したので行ってみた。
晩年は投獄されるなど不遇の時を過ごしたものの、多くの未完の計画とスケッチを残したルドゥは、後の建築にも多大な影響を与えた。彼の建築・社会思想を体現したこの製塩所を訪れ、フランシュ=コンテ地方の塩づくりの歴史をたどってみたい。(家)
取材・文 : 家村昌宏 (建築家)編集部
Saline Royale d'Arc-et-Senans
Adresse : Grande rue, 25610 Arc et Senans , FranceTEL : 03.8154.4500
アクセス : sncf Arc-et-Senans から徒歩3分
URL : http://www.salineroyale.com
季節によって開館時間が違うので要確認