6月28日に行われた市町村議会選挙第2回(決選)投票は、低投票率とヨーロッパ・エコロジー=緑の党(EELV)の躍進が目立った。地方選挙ではあるが、与党の共和国前進(LRM)への不信感が表面化し、今後の政治に環境保護重視を求める世論の傾向が示されたと言えよう。
3月15日の第1回投票から通常1週間後に行われる第2回投票は、コロナ禍のため3ヵ月半経ってからの実施という異例の事態に。感染防止策がとられたものの、第1回投票の全国平均投票率44.66%をさらに下回る41.6%と記録的な低さとなった。
2019年の欧州議会選で得票率13%を上げたEELVは今回の市議会選でも躍進を続けた。全体的には共和党と社会党系の市政継続が多いとはいえ、EELVは人口3万人以上の市に限れば、グルノーブルなど2市政から、リヨン、ボルドー、ストラスブール、および左派と共同リストのマルセイユなど大都市を含む10の市政を掌握。リヨンとメトロポール・リヨンは社会党が長く君臨してきたが、元社会党のコロン氏(LRM)が内相を辞任してまで維持しようとした目論見は外れた。リヨン同様、ボルドー、ストラスブールでLRMは右派共和党との提携にもかかわらず敗退。とりわけ戦後右派が掌握し続けたボルドーでの共和党・LRM共闘がEELV・左派に敗れたことは印象的だ。
パリでは決戦投票でEELVと組んだ社会党が58.9%とトップに立ち、イダルゴ氏が市長続投を決めた。共和党は36.8%、ビュザン前保健相率いるLRMは13.3%と振るわず、ビュザン氏自身も区議止まりで市議にはなれず。フィリップ首相は辞任後の5日にル・アーヴル市長に選出されたが、LRMは予想通り低迷、政府への不満が表面に出た。極右国民連合(RN)は10万人以上の都市では初めてとなるペルピニャン市を獲得したが、フレジュス、オランジュなどを維持する一方で失った市政もあり伸び悩んだ。マルセイユでは諸左派・EELV連合と右派の議席が拮抗したが、市議会では社会党が前者に加わり、女性の諸左派・EELV市長が誕生、25年間の右派市政に終止符を打った。社会党は多数の市でEELVとの提携で市政を保持。EELVとの共闘が存続の条件になりつつある。
マクロン大統領は29日、気候市民会議参加者を前に環境保護策を経済の中心に置くと約束した。だが、コロナ後の経済再建を最重要課題に掲げる政権において、ポンピリ新環境相がどこまで環境保護政策を推進できるか疑問視する声も聞こえる。