フランスでも警察の暴力と人種差別への抗議運動広がる。

米・仏の抗議を日々報じるリベラシオン紙。

 米ミネアポリスで5月25日、黒人男性ジョージ・フロイドさんが警官に膝で喉を押さえつけられ窒息死した事件で、アメリカ全土に警察の暴力と人種差別に抗議するデモが広がっている。この動きは世界各地に飛び火し、非常事態宣言下で10人以上の集会が禁止されるフランスでも全国主要都市に拡大した。

 フランスではフロイド事件とともに、2016年にパリ北郊外で逮捕時に腹を押さえつけられたアダマ・トラオレさん(当時24)が死亡した事件の真相解明を求める支援者の呼びかけが抗議運動を先導。6月2日、パリ裁判所前に2万人が集まり、「Black Lives Matter」「アダマのために正義を!」などのプラカードを掲げて警察の暴力と人種差別に抗議。翌3日はトゥールーズ2000人、モンペリエ5000人、4日はリールで2000人を集めた。6日にも主要都市で2万3300人(パリ5500人)がデモに参加。フロイドさんの葬儀の9日にも仏各地でデモや追悼会が行われた。
 トラオレさん事件は未解決だ。2016年7月から現在まで死因鑑定が繰り返されて検察・裁判所側と遺族側の見解が真っ向から対立している。検察側や裁判所の鑑定ではその時々で、感染症、心筋症、心性浮腫などトラオレさんの健康に問題があったという結果が示され警察の責任を否定。一方、遺族側は独自に依頼した複数の鑑定で、腹部への圧力による窒息死という見方を一貫して主張してきた。

 2日のパリでのデモを受け、カスタネール内相は3日、警察・憲兵による過失、「人種差別的な表現を含む一つ一つの言葉」は調査され罰則の対象になると発言。5日には、フェイスブック上で人種差別、同性愛・女性蔑視のコメントをやり取りしていた警官グループを告訴した。さらに、マクロン大統領の意向を受け、8日には職務質問の際のボディカメラ使用の促進、逮捕の際に首を圧迫することを禁止するなどの対策を発表した。内相は「仏警察は人種差別主義ではない」と擁護することも忘れなかったが、一部の警官の差別的言動はしばしば指摘されている。警官の行為を監視する国家警察監察総監(IGPN)の最近の発表によると、2019年の警官に対する訴えは前年比で23.7%増え、その半分は警官の暴力に関するものだ。今回の抗議運動拡大で内務省が差別や暴力を十分に取り締まらず、今あわてて対処している感は否めない。21世紀になっても残る差別。その現状をフロイドさんの事件は世界につきつけた。(し)


 

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