青木誠さん(47歳)
「フランス料理ってとてもいい音がするんです」という青木さんは、静かな鮨屋で働く父親の姿を幼い頃から見て育った。銀座から京都、そして紀尾井町から再び銀座で鮨を握る父親が「洋食へ行きたい」と言う青木さんの意思を尊重してくれたからこそ、今の青木さんがある。26歳でフランスへ来た青木さんの一番大きな転機となったのは、知り合いの紹介で行ったドイツのケルンで、美しい街を散策することもなく店とアパートを往復しながら、世界中を渡り歩いた女主人が次々と買ってくる新しい食材と数年間格闘した経験だった。
店をやらせてくれるならば 「世界中のどこでもよかった」という青木さんと姉のみよ子さんが、自分たちの店を持って今年でまる10年になる。シャンゼリゼの裏通りにある店の昼は、近くで働くビジネスマンで満席だ。「お客さんが急いでいるなら料理は早く出す」けれども「これだけは絶対に譲れない」ところは守らなければいけないと言う青木さんの語り口に、父親から受け継いだ職人の自信と誇りがある。商売を通じて家族が楽しく暮らしていくためには?と青木さんは日々考えを巡らせる。父親が残してくれた銀座の店を継いだ兄、そして青木さん姉弟が開いたパリの店で何が始まるのか。「まだいろいろとやりますよ、やらないと」という青木さんの笑顔が私の目に眩しい。(海)
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Makoto Aoki
Adresse : 19 rue Jean Mermoz, 75008 ParisTEL : 01.4359.2924
12h-14h30/19h30-22h30 日休 昼のセットメニューは24€と38€、夜のセットメニューは38€。