体に障害がある人のためのファッションショーが1月16日、パリで行われた。日本では行われたことがあるが、フランスでは聞いたことがなかった。
主催者は、ブログ「ファッションアンディFashionhandi」のブロガー、サンドリーヌ・シロンさんだ。へその紐が首に巻きついた状態で生まれ、脳性まひになったサンドリーヌさんは30代前半の女性。思春期の頃にファッションに目覚めた。障害児施設で働いた後、ボランティアとして「全仏まひ者協会」に入り、現在、執行委員を務めている。同時に、身体障害者のファッションについてブログを始めた。ブログは好評で、そのうちネットワークや支援者の輪ができ、最初のファッションショーを2015年に開いた。スローガンは「障害があってもファッショナブルで、セクシーな着こなしを」。この望みを他の障害者と分かち合い、障害者に対する人々の視線と、ファッションメーカーの姿勢を変えることが目的だ。
華やかなライトを浴びて出て来るモデルには障害者と健常者が混じっている。「障害者だけの世界にしたくなかった。日常生活では健常者も障害者も混じっているから」というのがその理由だ。結婚衣装、夜会服、タキシードなどの豪華な衣装を着た美しいモデルが次々と登場し、車いすの人もいる観客席から大きな拍手を浴びた。
ショーを裏で支えるのは、スタイリスト、デザイナー、イメージコンサルタントなど。イメージコンサルタントは、障害者が自分で服を着られるよう、視覚障害者の場合は自分で化粧ができるようアドバイスするなど、障害者も対象として活動する人たちだ。そのうちの一人、ヴェロニク・バローさんは、服飾店に障害者への対応のしかたを教える研修も行っている。「通常の服は、立った時の姿勢を元に作られています。車いすの人は座ったままなので、立ち姿勢の服では裾が長すぎます。障害者に対応したメーカーはまだまだ少ない」と言う。異なる身体的特徴の人たちが、多くの選択枝から好みの服を楽しめる機会が増えることを、ファッションの街パリに期待したい。(羽)