スイス・ダボスで開催された世界経済フォーラムに出席したマクロン経済相は1月22日、記者の質問に対し「週35時間制は実質的になくなりうる」と答え、仏国内で議論を呼んだ。現行法では、週35時間を超える労働については時間給が原則25%増しになるが、労使の合意がある場合は10%増しまで下げることが可能だ。経済相の発言は、いま政府が検討中の労働法改正案で、この最低枠を撤廃して労使交渉に委ねることを推奨したものだ。時給増しがなくなれば実質的に35時間制ではなくなるという理論だ。しかし、実際にはフランス人勤労者は平均で週39時間働いており、2000年に導入された35時間制以降、オーバー分は代休などで還元されている。政府は35時間制を維持する方針を明らかにしており、残業代が減少するにしても、35時間制が廃止されるわけではないだろう。(し)