右派が64県を獲得し、1998年の勢力図に
3月22、29日の両日に全国一斉に投開票された県議会議員選挙は、予想通り右派の圧倒的な勝利に終わった。30日付フィガロ紙は第1面に「Droite : la reconquête (右派が奪回)」と銘打ち、赤(左派)の多い前回2011年の勢力図と、青(右派)の多くなった今回の勢力図を並べ、右派の勢力奪回を鮮やかな色で表現した。
今回の選挙結果がまさに「奪回」であることは、同紙2面の勢力図変遷を見れば一目瞭然だ。1994年には全101県のうち80県を制覇していた右派はしだいに勢力を失い、2011年には半分の41県まで後退。それが、今回は一挙に64県まで増やした。左派は1998年レベルの34県に後退した。シラク元大統領から08年に奪ったオランド大統領の根拠地コレーズ県も右派に、ヴァルス首相の基盤エッソンヌ県も17年ぶりに右派に奪われたことは象徴的だ。今回の選挙の敗北は社会党政権への批判であると言われているが、政権党に選挙が不利なのは自明のことである上、この不況下でもあり、2002~12年の右派政権の間に伸ばした議席を、左派は今回一挙に失っただけのことだともいえる。
躍進がささやかれた国民戦線党(FN)は結局1県も獲得できなかった。とはいえ、得票数では右派の民衆運動連合(UMP)と右寄り中道の民主独立連合(UDI)の連合に次ぐ400万票を獲得。だが、結果的には31選挙区でしか勝てなかった。第1回投票ではトップに立っても、決戦投票で負けたケースが多い。各選挙区で1組だけを選ぶために死票が多くなり、2大政党以外の党にはどうしても不利になる。それでも、改選前の県議1人から31人になったのだから「躍進」といってもいいだろう。マリーヌ・ルペン党首は落胆を隠しながらも、「目標に近づきつつある。権力の座につき、フランスを再建し、わが国に自由と治安と繁栄を取り戻すために我々の政策を国政に適用する」とあくまでも強気だ。照準はすでに2017年の大統領選に合わせてある。
去年までは小郡選挙(élections cantonales)と呼ばれていた県議会選挙は、全国4055の小郡(選挙区)で各1人の議員を選ぶもの(任期6年で半数改選)だったが、2013年の法改正で、選挙区をほぼ半数の2054に減らし、今回の選挙から男女1人ずつの組を各選挙区で1組選ぶ方式(任期6年で一斉改選)になった。それにより、これまでの女性議員の割合13.5%が一挙に50%になったのは、特筆すべき変化だろう。 (し)