先週友人とイタリア料理を食べに出かけたら、メニューに料理が載っていた。ボクはこのサルティンボッカが大好きで、家でも時々作りたいから、わざわざ庭の片隅にセージを植えているくらいだ。まだ春先だから葉は小さいけれど、子牛肉、生ハム、セージの三拍子そろったサルティンボッカを作ってみよう。子牛肉も生ハムも安くはないから、ごちそうです。
肉屋で「エスカロップ用4枚」と頼むと、子牛のもも肉noixのところを4枚そぎ切りにして、さらに薄くたたいてくれるだろう。生ハムは本来なら塩味が薄めのパルム産を使うが、ハモンセラーノでもバスク産の生ハムでもおいしくできる。できるだけ薄く切ってもらうように頼みます。セージは大きい葉が望ましいところだけれど、小さかったら葉の数を増やすだけ。主な材料はこれだけだ。
まず子牛肉を二つか三つに切り分ける。生ハムもその形に合うように切りそろえる。サルティンボッカは、イタリア語で「口の中に飛び込む」という意味らしいが、それは、こんな風に肉を、小さめに切り分けるからだ。子牛肉に軽くコショウする。生ハムの塩味があるので塩はしません。肉の上にセージの葉を重ならないように何枚か置き、生ハムをかぶせ、ばらばらにならないように楊枝で止める。両面に小麦粉をまぶしたら、軽くたたいて余分の粉を落とす。このへんでタリアッテレをゆで始めるとちょうどいいタイミングだ。
できるだけ大きなフライパンにバターをとり、それが熱くなったら、まず子牛の側から中火で焼いていく。2分経ったらひっくり返してもう2分。一度に焼き切れなかったら、もう一度同じ作業だ。肉をとり出したら強火にし、白ワインを一気に加える。木のヘラで、フライパンについている肉のうまみを溶け込ませるようにしながら、半分くらいになるまで煮詰めていく。肉にまぶしておいた小麦粉がちょうどいいとろみをつけてくれるはずだ。ここで味を見て、必要なら控えめの塩、コショウで味を調える。肉を戻し、このソースをからめればでき上がりだ。タリアッテレを、有塩バターと混ぜ合わせてから付け合わせにする。セージの香りがきいた子牛肉のうまさは病みつきになる。(真)
【4人分】
エスカロップ用に切ってもらった子牛肉4枚 (1枚120g前後)、生ハム4枚、セージの葉12枚くらい、小麦粉、白ワイン200cc、バター、塩、コショウ
Escalope de veau
子牛のもも肉をそぎ切りにしたエスカロップは、バターでさっと炒めてから生クリームを加えれば、ノルマンディー風エスカロップ。レモンの香りをきかせたり、マッシュルームの薄切りを加えるとうまい。塩、コショウし、小麦粉、卵、パン粉をつけて揚げればミラノ風エスカロップ。これでソーセージ用の詰め肉を包んで結わえ、トマトソースで煮込めばポピエットだ。
Sauge
古代ギリシャ・ローマ時代から薬用・香辛料として利用されてきたセージは、イタリアやプロヴァンス地方の料理に欠かせない。南仏では子牛肉や鶏肉料理、スープの香りづけに使われる。イタリアでは、サルティンボッカ、オッソブッコ、ポピエットに。ソーセージに詰める肉にも入る。鉢植えを買ってきて、バルコニーに置いておくと重宝する。