ジョルジュ・ノエル(1924-2010)の遺作5点がパリ市近代美術館に寄贈されたことを記念し、常設展の一室で彼の展覧会を開催。アンフォルメルの画家とされたノエルは、その後69年にアメリカに渡ってから幾何学抽象的な作風に変わった。ここで展示されている作品の中で幾何学抽象は少なく、ほとんどが、憑(つ)かれたように動く線が画面を埋めつくしている作品だ。不思議な文字は、古代か超未来の文字のようだ。署名、制作年度はデッサンのようにその他の線にまぎれて、画面の上下、横に入っている。84年に初来日。「江戸の雨」と題された大作は、苔むした岩のある庭園に降る細かい雨を思わせる。常設展入り口向かい側の小部屋では、その他のアーティストのビデオと共に、ノエルについてのドキュメンタリー映画を上映中。ノエルや、妻でキュレーターのマーギット・ロウエルの発言を聞くことができる。ドイツ哲学、文学、音楽に造詣が深く、「アーティストは五感を100%使う人」というノエルの創作についての考えの一端がわかる貴重な資料である。5/3迄 月休。
Musée d’art moderne de la Ville de Paris :
11 av. Président Wilson 16e