画家ジャン=ピエール・シュネデール

© Jean-Pierre Schneider
© Jean-Pierre Schneider
 パリのモンパルナス・ヴォジラール駅から、イル・ド・フランス地方を結ぶ直行便で約1時間、中世・ルネサンスの街並みを残す町、ドゥルーDreuxのラルスナル現代美術館で、画家ジャン=ピエール・シュネデール(1946-)の、ここ10年の活動を総括する大個展を開催している。パリの画廊での展覧会(2月1日号掲載)が良かったので行ってみた。電車に乗って行く価値がある、期待を大きく上回るものだった。
 シュネデールはパリ生まれ。リールの国立美術学校で学んだ。絵のほか、舞台美術も手掛ける。
 会場は主題別に構成されている。シャルトルのカテドラルの彫刻からインスピレーションを得た「女王のブリオー(*中世の衣装)」、自然を題材にした「たそがれ」、「5月の滝」、マネの「オランピア」に着想を得た「召使い」、クロールをする人を描いた「泳ぐ人」など。同じ主題の作品がいくつもあるが、シリーズではない。それぞれが違う個性を持つ同族の人々の集まりに似ている。
 入口で屏風絵のように入場者を迎える「大地」には、空と地を分ける境界線だけが引かれている。オランピアと召使いの姿を背景から暗に示す「召使い」では、色と線と形が等価に扱われている。
 いづれも大理石粉、アクリル樹脂、顔料を使ったマットな質感の絵だ。表面は陶器のような肌で色数は少ない。こすったりひっかいたりして、下の色を浮き出たせている。「地の色が乾き切らないうちにその力を引き出す。それによって生きた色が出る」とシュネデールは言う。
 「絵画の文学性」を考えたとき、シュネデールの作品は、散文詩に近い。余分なものを除いた簡素なフォルムと、限られた柔らかい色彩の組み合わせは落ち着いており、その印象はしばらく宙に浮いたまま心の中を占め、そのうち静かに霧のように消えていく。洗練されていて美しく、しっかり掴もうとするとスルリと抜けられてしまいそうだ。音楽ならドビュッシー。彼の色彩には華があり、光が感じられる。
 大きく書かれた題名と制作年月日が画面の一部になっている。文字のデッサン性を意識した画面構成だ。一見不器用に書かれた、味のある文字や数字が画面を締める役割を果たしている。(羽)
L’Ar[t]senal : 5 place du Marché Couvert 28100 Dreux
3月31日迄(月休)。

 

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