オープニングから17日間で12万人という驚異的な入場者数を記録した大人気の回顧展。ジェフ・クーンズ (1955-)が好きか嫌いかは別として、商業的に大成功しているアーティストの全体像を見ると、アートとは何かを改めて考えさせられる。100人以上のスタッフが制作する工房では、技術的に完ぺきな仕上がりが求められる。工業生産でより簡単にできるものを、手間と多額の費用をかけて作る。リキテンシュタインも工業製品の網目のドットを、手仕事でそれとわからないように描くという技巧を駆使していたが、クーンズの工房制作はもっと大掛かりだ。リキテンシュタインにもクーンズにも、「(そう見えないかもしれないが、)実は美術史に精通している」というコメントがわざわざキュレーターから寄せられるのはなぜだろう。日本で展示したら警察が飛んできそうな、本人のサイトにも載せられないほど過激な性的表現の「Made in Heaven」シリーズの作品は、特別に囲われた一室に展示されており、未成年者が入場しようとすると監視人に止められる。こうした作品が国立美術館で展示できるのは、さすがフランス。4/27迄。火休。
ポンピドゥ・ーセンター