店の規模はそれほど大きくはないが、金色に輝くシカの置物がそのままテーブルとなった一角があったりと、おしゃれでアットホームな雰囲気。道路側の外からも、店内からも覗ける肉の熟成庫があり、職人気質なシェフの心意気を感じる。4週間の熟成を経てようやく食卓に現れるフォーフィレのステーキ(28€)がこの店のスターメニューだが、2皿18€、3皿24€のランチでも、旬の食材を使った、シェフの気合いの入った料理が充分に楽しめるのがいい。
タラ科の魚のくん製、アドックに根セロリのサラダをあしらった前菜は、インドのスパイスミックス、ヴァドゥーヴァンが効いてて個性的。友人のとった落とし卵、ウフ・ポシェは、イバイオナ豚のカリカリベーコンやキクイモのピュレ、そしてその皮の部分のフライ、青菜のサラダなど食感と香りが楽しい一品。
メインにとった若い雌鴨のフィレのローストは、素晴らしい焼き加減と、食べ応え充分の厚みのある鴨肉もさることながら、バターナッツというひょうたん型のカボチャと栗、イチジクの付け合わせがたっぷりで否が応でも気分が盛り上がる! グラスでとった赤ワイン、Côtes de Bourg(5€)にもぴったりだ。友人のとったカサゴはクルミのペーストで片面を包んで焼き上げてあり、洋梨とアンディーブのキャラメリゼとともに食感や食材の組み合わせのハーモニーを堪能できる。前菜、メインともに彩りがよく、盛りつけにも細かい気遣いがあるのが嬉しい。
デザートにはおすすめのモン・ブランにしてみたら、現れた瞬間に柑橘の香りがふわっと香る心憎い演出であっぱれ。マロンクリームは、食後にちょうどいいクリーミーなデザートだった。
複数の有名シェフのもとで修業し、カナダで腕を磨いたシェフ、ニコラさんの料理は天下一品だし、給仕を務める奥さんのマリー=カロリーヌさんの朗らかな応対にも好感が持てる、と、いいとこ尽くしのビストロです。(里)
Comptoir canailles
Adresse : 47 rue Rodier, 75009 paris , FranceTEL : 01.5320.9556
火~土12h30-14h30/19h30-22h30(金土 -23h)。日月休。