巷(ちまた)には新作映画ばかりが溢れているけど、たまには親子で無声映画鑑賞も新鮮な体験になることだろう。老舗映画会社パテの財団は、昨年9月に屋舎を一新させ、内部の一般公開を始めた。貴重なカメラや映画関連資料の展示室、無声映画専用の上映室を備えており、とりわけピアノ演奏付き上映会は映画鑑賞の穴場だ。
この1月からは6歳以上の子供に向けた上映会「Les séances Pathé – Kid」もスタート! もともと同財団は、パリ市の幼稚園や小学校の課外授業用に映画アトリエを実施していたが、好評につき、外部の子供も無声映画を鑑賞できる機会を作ったのだ。本年度は「親指小僧」「ロバの王女」「アラジンと魔法のランプ」など、有名童話の映画化作品を中心に上映予定だ。
財団スタッフ、ファブリッチオさんによると、無声映画は想像力に良い刺激を与えるという。言葉に寄りかからない分、鑑賞者が自主的に想像力を羽ばたかせる余白があるのだ。子供には難しいのでは?とも思うが、「問題ありません。ピアノ演奏もあるし、顔の表情も大げさでわかりやすい。趣味嗜好が固まりがちの大人にくらべ、子供は無声映画をスポンジのように丸ごと楽しみ、吸収します」
映画鑑賞後は、約150台の貴重なカメラが集まる展示室へ。家庭用の9,5mmフィルムのカメラや、手作業で字幕を入れる機械などが並び、興味が尽きない。本財団の建物はポンピドゥー・センターを手がけたレンゾ・ピアノの設計。巨大な銀のダンゴムシにも似た大胆な建築は、パリの新しい名所だ。ロダンの彫刻が残る贅沢なファサードもお見逃しなきように。(瑞)
●Fondation Jérôme Seydoux-Pathé
73 avenue des Gobelins 13e
01.8379.1896
01.8379.1896
www.fondation-jeromeseydoux-pathe.com
展示室 : 火~金13h-19h、土10h-19h、日・月休
子供向け上映会「Les Séances Pathé-Kid」は、毎水曜14hと土曜11hに実施。
展示室入場+映画鑑賞で大人 6€/ 学生・14歳未満・65歳以上 4€。
● 映画館「バルザック」の無声映画上映会
シャンゼリゼ大通りのすぐ近く。1935年来、パリの一等地で映画文化を守り続ける映画館「バルザック」も、2003年から月一回ピアノ生演奏付き無声映画上映会を実施する。サイレント時代のスター、チャップリン、キートン、ハロルド・ロイド作品などを上映。
●Cinéma Le Balzac : 1 rue Balzac 8e
http://www.cinemabalzac.com/
無声映画上映会「Pochette Surprise」は月一回の日曜(第二日曜が多い) 11h~ 対象は5歳以上、大人10€26歳未満は6€
自分で字幕も入れられます
約150台の貴重なカメラたち。無声映画の鑑賞用スペースも。
無声映画専門の上映室。Michel Denancé – Coll. Fondation Jérôme Seydoux-Pathé © 2014 – RPBW
Fondation Jérôme Seydoux-Pathé
映画館「バルザック」 ©Frédéric REGLAIN