7ページではシュークルートが主役だから、このレシピ欄でもやはりアルザスが名物のフラメンクッシュ。ちょっとしたパーティーに、フラメンクッシュを2種類作ると、みんなまわりに群がってくるほどの人気だ。
一つはオーソドックスに、ベーコン、玉ネギ入り。もう一つは、亜流と言われそうだが、スモークサーモン、玉ネギ入り。パン生地は冷凍のものもあるが、すでに丸く伸ばしてピザ生地pâte à pizzaとして市販されているものを使うと便利だ。ベーコンもすでに小さく切り分けてあるものlardonsを買ってくれば簡単簡単。
焼き始める10分前にピザ生地を冷蔵庫から出し、目盛りを180度に合わせオーブンに点火。玉ネギは皮をむいて二つに切り分けてから薄く切る。フロマージュ・ブランと生クリーム、好みではマスタード少々も加えて混ぜ合わせる。
天板にピザ生地を、包んである硫酸紙ごと広げる。さらに指先で押しながら、できるだけ薄くする。その上に、フロマージュ・ブランと生クリームを混ぜ合わせたものを、均等に、一面に広げる。その上に玉ネギをばらまき、おろしチーズを振りかけ、コショウを挽きかけて、熱くなっているオーブンに入れる。20分ちょっとで、生地にきれいな焼き色がついたらでき上がりだ。
次はスモークサーモン入りだ。スモークサーモンは並のもので結構。ピザ生地に、フロマージュ・ブランと生クリーム、細かくきざんだアネットの葉を混ぜ合わせたものを、やはり均等に、一面に広げる。その上にスモークサーモンを小く切り分けてのせる。サーモンの上に生クリームを薄く置くと、焼き上がりがぱさぱさしないようだ。玉ネギとケッパーを散らし、おろしチーズを振りかけるのだが、パルメザンチーズの方がおいしい。コショウを挽きかけてから熱くなっているオーブンに入れてやはり20分ちょっとで焼き上がる。
飲み物はやはりビールです!(真)
オーソドックス:250gのpâte à pizza 1枚、ベーコンlardons fumés100g、玉ネギ1個、フロマージュ・ブラン大さじ2杯、生クリームcrème épaisse大さじ1杯、マスタード、おろしチーズ、コショウ。
スモークサーモン入り:250gのpâte à pizza 1枚、スモークサーモン3枚、
玉ネギ1個、フロマージュ・ブラン大さじ2杯、生クリーム大さじ1杯、
アネットの葉適量、おろしチーズ、ケッパー適量、コショウ。
●pâte à pizza (pâte à pain)
生イーストを使って作るパン生地、本格的なミキサーがないと自家製は時間がかかる。スーパーなどで市販されているものを買ってこよう。すでに円形に伸ばして硫酸紙に包んであるものと、冷凍でまだ伸ばしてないものと2種類ある。ピザを焼く時は、円形を使うが、今回のフラメンクッシュのように、さらに薄く伸ばす必要はない。自家製なり、市販のトマトソースを敷いてから、オリーブ、アンチョビー、薄く切ったマッシュルーム、ハム、缶詰のツナなど、好きなものをのせるだけだ。その上に、小さく切り分けたモッツァレッラをたっぷりのせて、熱くなっているオーブンに入れる。
南仏名物のピサラディエールを作る時にも、この市販のパン生地は大活躍。甘みが出るまで炒めた玉ネギを一面に敷いてから、アンチョビー、黒オリーブをバランスよく散らばせてからオーブンに。
●sauce tomate
トマトソースはぜひ自分で作りたいものだ。完熟して味が濃いトマトが見つかったら申し分ないけれど、最近は夏でもおいしいトマトを見つけるのがむずかしい! そこで〈tomates concassées〉という、水煮してからさいの目に切ってあるトマトの缶詰を使うといい。この缶詰のトマトを1キロ使うのなら、まず中くらいの玉ネギ2個を細かくみじん切りにする。厚めの鍋やソトゥーズにオリーブ油を大さじ4杯ほどとり、弱火で玉ネギを炒めていく。玉ネギが透き通ってきたら、やはり細かくみじんに切ったニンニク1片を加える。よく混ぜ合わせてから、トマトを加え、ブーケ・ガルニを入れ、塩、コショウ。砂糖も二つまみ加える。木のヘラで混ぜ合わせながら火を通していき、ぐつぐついってきたら火をごくごく弱火にする。ふたをせずに頻繁に混ぜ合わせながら、少なくとも20分から30分煮ていく。トマトの水分が飛んで、ピュレ状になったら火から下ろし、ブーケ・ガルニをのぞき、塩、コショウで味を調えればでき上がりだ。タッパーウェアに入れてきちんとふたをし、冷蔵庫に入れておけば、4、5日は持つ。温め直す時は、トマトソースを鍋にとってからオリーブ油少々を足すといい。