殺人犯として処刑された詩人

© Photo Lot
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『Lacenaire』

 間もなく自らが処刑されるギロチン台へ「僕の美しいフィアンセ、僕をまもなく抱きしめてくれる、君に最後の思いを託そう、僕は生まれた時から君のものだった…」という言葉を綴ったのは、1836年1月に33歳で生涯を終えたピエール=フランソワ・ラスネールだった。ラスネールはマルセル・カルネの映画作品『天井桟敷の人々(1943)』の中でも登場し、今のレピュブリック広場からオペラ座へと続いていた「犯罪大通り」の犯罪人としてアルレッティと印象深いやりとりを展開している。
 ボードレール、スタンダール、ドストエフスキー、ロートレアモン、バルザック…という名だたる文人たちがこのラスネールに魅了された理由とは?  それは窃盗犯、殺人犯として処刑されたとはいえ、それ以前に彼が詩人だったことに由来している。処刑前の裁判では、自らが演出したかのような、皆が聞きほれるほどの応答をし、またサド侯爵のように獄中で書き残した『Mémoires,  révélations du malfaiteur 悪人の記憶と告発』は、処刑後の1838年に刊行されている。
 本戯曲では、ラスネールのそうした「詩人」性に重きを置く。 獄中のラスネールを訪ねるメリメとのシーンが印象に残る。メリメはラスネールが獄中で書き溜めた文章を読み、その筆致、才能にあ然としながら、ラスネールがギロチンでこの世から消えてしまうことを予知している。自分の生に残された時間を惜しみつつ、運命に抗えないことを意識しているラスネールの才能を嘆くメリメは、ラスネールと同じ感受性と才能が自分にはあるのだろうか…と自問する。脚本+演出+ラスネール役はフランク・デメ。(海)
8/30迄。火-土21h。 10€-24€
Théâtre de la Huchette : 
23 rue de la Huchette 5e  01.4326.3899
www.theatre-huchette.com/

 

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