カルル・フィリップ・エマヌエル・バッハ(C.P.E.B)は、大バッハの息子という重圧を跳ね返し、明暗のコントラストが著しい、躍動感あふれる音楽を作曲した。今年は、そのC.P.E.Bの生誕400年で、彼の音楽を再発見できる年になりそうだ。その口火を切ったのがこのアルバム。名チェロ奏者オフェリー・ガイヤールが、2曲のチェロ協奏曲などを、ピュルシネッラ弦楽団を指揮しながら演奏している。父が亡くなった1750年に作曲されたイ短調の協奏曲を聴いてみよう。感情がほとばしり出るような、弦楽の鋭いトゥッティに、柔らかく深みのあるガイヤールのチェロが入ってくる。アンダンテでは、チェロが弦楽と対話しながら悲痛なエレジーを歌っていく。ここには、10年ほど後に作曲されたハイドンのチェロ協奏曲のすべてがある。残りの3曲も傑作。録音も秀逸。(真)