カフェで飲むことができる、おいしいビールたち。
●1664、Pelforth、Stella Artois
フランスのカフェのpression(生ビール)は、ラガータイプが中心だ。フランスのラガーでは、アルザス生まれの〈1664〉が、すっきり飲みやすく今一番人気かな。「ユヌ・セーズ・シルヴプレ」と注文します。リール近辺で作られている〈Pelforth〉が置いてある店も増えてきた。これは「ペルフォール」あるいは「ペルフォルト」と発音する。ベルギー産の〈Stella Artois〉もなかなかだが、パリで飲むと、時々、不快な匂いがして残念。地下の樽(たる)とカウンターの注ぎ口をつなぐ管がきれいに洗ってないせいだ。他のラガーでも同じことが起こる。ビール王国のベルギーならこんなことはないんだがなあ〜。
●Leffe、Affligem、Chouffe、Hoegaarden
pressionの中に〈Leffe レフ〉があったら迷うことはない。下面発酵タイプのラガーとは違って、上面発酵ならではの味わい深さとコク、それでいながら程よい切れ味! フルーティな「ruby」、スタウトに近い「brune」などのタイプもあったりするが、やはり以前からの「blonde」 に軍配が上がる。〈Affligem アフリゲム〉や〈Grimbergen グリムベルゲン〉は、〈Leffe〉に味わいが似ているが、やや甘い。〈La Chouffe ラ・シュフ〉もベルギー産だが、軽い酸味があってややフルーティ。白ビールの〈Hoegaarden ホーガルデン〉は、さわやかで暑い時にうまい。レモンひと切れを浮かべてもらうといい。以上はいずれもベルギー産で、アルコール度はラガータイプよりも高く、6.5%以上なので、2杯も飲むと、いい気持ちになってしまう。
●Orval、Westmalle、Chimay
トラピスト会修道院で作られていて、トラピストビールとして公認されているものがベルギーには6種類ある。すべて瓶詰めのビールで、ベルギービールが売り物のカフェで飲むことができる(右欄参照)。その中でも、〈Orval オルヴァル〉は、落ち着いた通向けの風味で、まろやかさとかすかな苦みが調和する逸品。アルコール度は6.2%。生産量が限られていて輸出に力を入れているせいか、ブリュッセルでこのビールを出す店を見つけるのが大変になってきている。そんな時にベルギー人が飲むのが〈Westmalle〉の「blonde」。アルコール度が9%を超えるとは思えないバランスのよさ。〈Chimay〉は、アルコール度9%でスタウトに近い「bleue」、8%の「triple」、7%の「rouge」といろいろ変化がある。中でもこはく色の「triple」にファンが多い。トラピストビールは「chambrée 室温で」で、ワインのごとくゆっくりと味わいたい。
●Guinness、Murphy’s、Kilkenny
アイルランド人もよくビールを飲む。それもラガーよりは、スタウト系ビール〈Guinness ギネス〉。そのまろやかで濃厚な味わいは類がない。アイリッシュパブで頼むと、店の人は、大きなジョッキに7分目ほどギネスを注ぎ、しばらく置いておく。すると泡が次から次へと立ちのぼりガスが抜けていく。最後に優しくジョッキの縁まで満たすと、その泡はどこまでもクリーミーで緻密。フランス人経営のカフェではこのガス抜きをやらないところが多いから、そのギネスは酸味が強く、胃にきつい。アイルランド産のスタウトには〈Murphy’s マーフィーズ〉もある。こうしたスタウト系のビールは時間をかけて飲むこと。アイリッシュビールでは〈Kilkenny キルケニー〉も忘れられない。ナチュラルで柔らかな風味のエール。この〈Kilkenny〉は輸出用なので、アイルランドでは飲めません!