「家」に暖かみや丸みが生まれる

© Bernard Richebé
© Bernard Richebé
  家族の問題を扱う戯曲は多々ある。記憶に一番残っているのは、1990年代にアニエス・ジャウイとジャン=ピエール・バクリが書き下ろし、主演し、成功を収めた『Un air de famille  家族の気分』で、セドリック・クラピッシュ監督によって映画にもなり、フランスでは、こんな些細(ささい)な日常と個々の感情が織り込まれながらドラマとして展開するのだ、と感心した。
 そのジャウイが主演、しかも家族の問題を扱うのがこの戯曲。時は現代、父親は科学研究所の研究員、専業主婦の母親ジャウイ、バーチャルな世界でしか現実を受け止められないギークの息子、拒食症気味の娘、母親の父である老人、で一家は構成される。母親の「ご飯よ!」で一家の一日は始まり、夕刻にも同じ号令が響く。はた目からは平和で単調な毎日。
 舞台が二次元ならば、映画は三次元の世界だと、新鮮で自由な空気を送りつつ初めて私に悟らせてくれたのは、ベルイマンの「魔笛」だったか。舞台という限られた二次元世界での重要なカギは、そこで動く人々がどう空間をつくりだすか、そして彼らが吐く、発する言葉がどのように空間を膨らませていくかにかかっている。ところが、この舞台ではその空間がうまく膨らまない。家族のための「家」 には、帰る場所があり迎える「人」がいる。人がいて会話があるからこそ、たとえ舞台の上とはいえ「家」に暖かみや丸みが生まれる。家族とは何か? を問うのがこの戯曲の主題だと感じるからこそ、私は舞台の上の一家に、哀れみにも似た同情を感じてやまないのである。レオノール・コンフィノ作、カトリーヌ・シォーブ演出。(海)
5/3日迄。火-土21h、土16h。20€-52€。
Théâtre de la Madeleine :
19 rue de Surène 8e 01.4265.0709.  
www.theatremadeleine.com

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