エイのヒレaileをクール・ブイヨンで煮てから、ケッパー入りの焦がしバターをかけ回す一品はビストロの定番で、この欄でも紹介したことがある。今回は、やはりクール・ブイヨンで煮てから、ちょっと辛いトマトソースと一緒にオーブンで焼く一品です。
エイのヒレの黒っぽい皮の方は、とげがあり、はいであるのが普通だが、はいでなかったら魚屋に頼むこと。とげのない白い皮の側は、はいでないことが多いが、ゆでた後に簡単にそぎ取れる。ヒレが大きかったら二つに切り分ける。
まずクール・ブイヨンを用意。鍋に水、白ワイン、せん切りにした玉ネギ、塩、そしてコショウを多めに入れて10分ほど沸騰させる。火から下ろしたらワインビネガーを加え、冷ます。
底広の鍋やソトゥーズにヒレを並べ、クール・ブイヨンを静かに注ぐ。鍋を中火にかけ、沸騰しかけたら、弱火にし、ヒレの厚さによるが8分ほど火を通す。煮すぎるとぱさぱさになるので、気をつけたい。
その間にソースを作る。鍋にオリーブ油、ライムの搾り汁、細かくきざんだ玉ネギ、皮をむいてからきざんだトマト、バター、小麦粉を入れ、塩、コショウ、タバスコ適量を加えて、ごく弱火にかけ、とろりとした感じになるまで煮詰める。8分くらいかかるだろう。
このへんでオーブンの上火に点火。
ゆであがったエイのヒレを、フライ返しを使って慎重に取り出し、大皿の上に置く。ネバネバっとした皮をナイフを使って取りのぞき、オーブン皿に並べる。周りに辛いトマトソースを入れ、おろしたパルメザンチーズをたっぷり振って、オーブンの上火で5分ほどグリルすれば完成。パセリを散らしレモンを添え、熱々を味わいたい。付け合わせはゆでたジャガイモ。ワインは、辛口だけれど、まろやかさのある白ワインがいい。(真)
エイのヒレを約1キロ(2〜4枚)、バター、パルメザンチーズ、レモン、パセリ
クール・ブイヨン:水1.5リットル、白ワイン1カップ、玉ネギ半個、ワインビネガー50cc、塩大さじ1杯、コショウ
ソース:トマト3個、玉ネギ1個、オリーブ油大さじ1杯、ライム1個分の搾り汁、バター大さじ2杯、小麦粉大さじ1杯、タバスコソース適量、塩、コショウ
●court-bouillon
おもに魚、エビやカニなどの甲殻類、または胸腺や脳髄などの臓物をゆでる時に用いるブイヨン(ダシ)のこと。ふつう前もって作っておき、その冷めたクール・ブイヨンに食材を入れ、ゆっくりと煮立てていく。こうすることによってクール・ブイヨンの風味が食材にしみ込むことになる。魚などを冷ましてからマヨネーズで食べる時は、煮る時間をやや短くして、クール・ブイヨンの中で冷ますといい。魚をゆでた後のクール・ブイヨンだが、あまり酸っぱくなかったら、ソースやスープに転用することもできる。
水に、タマネギやニンジンあるいはブーケ・ガルニ、塩、コショウを加えて10分から15分ほど沸騰させる。白ワインを加えれば、さらに上等のクール・ブイヨン。ただしカニ、ロブスターなど殻の厚い甲殻類は、塩とコショウで十分。ただし塩加減は海水並みにしないと食材にうまく塩味がつかないものだ。臓物やエイの時は、ビネガーをしっかりときかせたい。ヒラメやカレイなどの平たい魚には、くさみをのぞくために、水のかわりに牛乳を使うことが多い。面倒な時は、インスタントの粉末も市販されているので、少々白ワインなどを加えてバージョンアップするだけでもおいしいクール・ブイヨンになる。
●salade de raie
エイのヒレは、今回のレシピと同じように下準備し、さっと表面を洗ったら大きめの皿にとり、白ワインを振りかけ蒸し器に入れる。身が軟骨から自然にはがれるようになるまで約15分ほど蒸す。まだ温かいうちに、エイの身を裂くようにして食べやすい大きさにする。これを和えるビネグレットソースだが、エイは味がもやっとしているので、ビネガーのかわりに、酸味はライムの搾り汁を使いたい。ただし、ライムやレモンの搾り汁を使った場合、酸味がビネガーよりはかなり強いので、油の割合を増やす必要がある。ふつうは、ビネガーの3倍の量の油を入れるが、ライムの時は4倍です。おろしショウガも適量加え、タバスコもちょっと垂らして、塩、コショウしたら、丁寧に混ぜ合わせエイと和える。小さめの葉のサラダ菜をミックスしたものを敷いて、その上にエイをのせる。ラム酒のいいおつまみにもなる。