リスボンの下町というよりは、古都コインブラの旧市街にありそうな感じの店がSaudade。10年ぶりかな、食べに行ってみた。ご主人も変わっていないし、落ち着いたサービスも、ゆったりとしたテーブルの配置も、昔のまんま。そして料理は? とメニューをのぞく。
アペリティフにvinho verdeという軽く発泡する白ワインを飲みながら、アントレに、イワシのエスカベッシュescabeche de sardinhas(8€)と干ダラのコロッケpastéis bacalhau(10€)、メインに、ポルト風干ダラbacalhau à João de Porto(19.5€)とアルガルヴェ地方名物のアサリ入り豚肉の煮込みcarne de porco Alentejano(19€)を選んだ。
イワシのエスカベッシュは、日本に渡って南蛮漬けになったものだが、ポルトガル名物のイワシを揚げてタレに漬けた一品。甘さはタマネギ、酸味はレモンの皮と、軽い味に仕上げられていて、イワシは骨まで食べられる。コロッケの方は、ボクの好みでは干ダラを塩出ししすぎている気がしたけれど、からりと軽く揚がっていてvinho verdeのよいお伴になった。
ポルト風干ダラは、厚めの切り身を焼いて、赤や黄色のピーマン、紫タマネギ、ゆでたジャガイモが添えてある。この一品の干ダラは、ポルトガル人でしかできないようなみごとな塩出し加減! そしてニンニク風味のオリーブ油がかけてある。これは、ポルトだけでなくリスボンでも同様で、味の決め手になる。メインのもう一品は、白ワインに漬けてから煮込んだ豚肉とアサリpalourdeの組み合わせに驚くが、貝の風味が肉に移っていて、真似ができない味わいになる。揚げたジャガイモが混ぜ込んであるのもポルトガル風。
メインと一緒に飲んだワインは、ポルトガルに長く滞在した檀一雄が愛した銘酒ダン(1本24€)。これが2006年もので、こくがありながら、どこまでもまろやかにボクらを酔わせてくれた。
デザートもという人は、クリスマスに欠かせないというライスプディングArroz doceがおすすめ。(真)
Saudade
Adresse : 34 rue des Bourdonnais, 75001 paris12h-14h/19h-22h30。日休。第1火曜はファドの夕べ。 食事ワイン付きで55€。これは要予約。