アミアンの名物は湿地帯でとれる新鮮野菜。
アミアンの美味しい名物は、広大な湿地帯を利用した菜園〈オルティヨナージュ Hortillonnages〉でとれる新鮮野菜。毎週土曜日の午前中には、カテドラル北側の運河沿い、パルマンティエ広場で農園直売のマルシェが開かれている。
とれたてのズッキーニやネギ、大きなラディッシュやカボチャ。パリではあまり見かけない、パティソンpâtissonというズッキーニの仲間の、平べったく真っ白な野菜もあって、どれも活き活きとした力に満ちていて、本当に美味しそう。あれもこもれもと欲張って、すっかり買物袋は重くなってしまった。
美味しそうな野菜たちを見ていたら、やっぱりおなかが空いてきたので、アミアンの郷土料理でランチにしよう。
駅前のタワー脇からのびるノヨン通りに、老舗レストラン〈T’Chiot Zinc〉がある。ピカルディ地方の郷土料理と、気取らない雰囲気で、地元の人々にも愛されている名店だ。奥に細長い店内には、アミアンの昔の姿を捉えた貴重な写真が飾られ、古くから栄えたアミアンの歴史を感じる。おすすめは、ピカルディ地方の郷土料理が試せる、16.9€のメニューと21.9€のメニュー。伝統料理のフィッセル・ピカルドとフラミッシュ・ピカルドは前菜に。
フィッセルは、マッシュルームとベーコンのホワイトソース煮がソバ粉のガレットに包まれ、チーズをかけたグラタンになっている。こんがりと焼き色がついてこってり重そうに見えるけど、ホワイトソースに酸味があって意外とあっさり。
フラミッシュは、ネギがたっぷり入ったキッシュ。表面もさくさくのパイ生地で覆われていて、さすがオルティヨナージュの恵み、やわらかいネギの味わいは深く濃く、甘い。
メインは郷土料理のカクスcaqhuseか、このお店のご自慢、小豚のローストを。カクスは豚肉とたっぷりのタマネギを生クリームで煮込んだ家庭料理。少しお酢が効かせてあって、素朴ながら心あたたまる逸品。子豚のローストは長時間じっくり焼かれて、皮の表面が飴色に輝く。ふんわりとしたお肉は、かむほどに甘みがにじみ出る。
デザートはフランボワーズやイチゴの入ったクープ・アミノワーズ。山盛りホイップクリームの巨大パフェに思わず笑顔がこぼれる。
郷土料理の家庭的な味わいで、心も体も温まる大満足なランチタイムを堪能したら、アミアンの伝統的なマカロンを買いに。5世代にわたり味を守り続ける〈Jean Trogneux ジャン・トロニュー〉の有名なマカロンは、ハチミツたっぷり。素朴で幸せな味わいは、お土産に最適だ。美味しいアミアンを満喫したら、ボートに乗ってオルティヨナージュを探検しよう。(高)
大聖堂のライトアップ。
建設当初はカラフルに彩色されていたという大聖堂。最先端技術を駆使し、細部に至るまでその姿をよみがえらせる、感動のイリュージョンは必見。クリスマスシーズンに合わせて、12月1日から1月1日までの期間限定で行われる。毎日19時から。無料。
パティソンpâtisson
入り組んだオルティヨナージを静かなボートに乗って探検。 ガイドの説明も親切だ。
老舗レストラン〈T’Chiot Zinc〉
フラミッシュ。
〈Jean Trogneux ジャン・トロニュー〉の有名なマカロン