フランスから戻って四半世紀。

◎荒川陽子(アートオフィス主宰、東京都)
 現在は東京でアート作品の企画展を主宰したり、病院や老人健康施設などにアート作品をコーディネートしたり、現代陶芸のギャラリーの仕事もしている荒川さん。現在の仕事はフランスとの直接の関係はないが、25年前、フランスで経験してきたことが大きな意味を持っている。
 大学を卒業して画廊で働いていたとき、かつてフランスに住んでいてエールフランスに勤めていた人が転職してきた。荒川さんには、外国で生活してみたいという漠然とした夢があり、その同僚と話していると「じゃあ、フランスがいいよ」と言われた。まだ20代前半、「いつもここは違うなと思っていました。自分がしっくりするところを探して、それを自分の内面ではなくて、外に求めていた時期でした」と振り返る。特にフランスに興味があったわけではないが、アート関係の仕事がしたく、美術だったらやはりフランス。フランスを拠点にヨーロッパを回れるし、日本に戻ったときにも、フランス語は後々使えるかと考えた。フランス語がまったくできなかったので、ABCだけでも覚えようと渡仏直前にアテネフランスに三ヵ月だけ通って準備した。まずはフランス語をマスターしようと、最初の着陸地は、住みやすく、フランス語がきれいだと言われたトゥールにした。そして半年後にはパリに移る。
 パリに住み始めてからも語学学校に通いながら、美術館や展覧会に通ったり、写真を撮ったり、文章を書いたり、他の国にも旅行にいくなど、充実した日々を過ごす。日本では出会わない人にも出会うことができ、面白かった。
 当初はルーヴルで学芸員の資格を取ることも考えていたが、学芸員になるには時間もかかるし、フランス人でも難しいコースだった。30歳近くになって日本に戻って就職先があるかという心配もあった。それに、そもそも自分がやりたいこととは違うと感じるようになった。一方で、パリに来てから、いろいろな日本人と知り合うようになるうちに、パリは「いようと思えばいつまでもいられる場所に思えた」。パリでの生活は「あるところまでは非日常でいられるから、楽と言えば楽。ただ、このままいると、中途半端」だと感じた。1990年、2年近くの滞在のあと、帰国を決めた。
 日本に戻ってからはアテネフランスで一緒だった人のギャラリーを手伝い、フランスの版画などを輸入したりしていた。そして日本に戻って10年後の2000年、Arakawa Art Officeを作った。その設立にもフランスでの経験が役に立った。
 パリで住んでいたサンジェルマンデプレでは、買い物帰りの人が買い物袋をさげたまま画廊に来ていた。また、版画をクリスマスプレゼントに買ったり、有名か無名に関係なく、自分が好きな作品を飾っている生活がとても豊かに感じた。日本でも、美術作品を通じて、自分がよしとするものを楽しむ豊かさ、「Joie de vivre(生きる喜び)」を伝えたいという。
 一度外国に出たことで、自分の考え方がしっかりしたという。「最初から好きなことが見つかる人はいます。何かを求めているけど、それが何かわからないときは、とにかく動かないとつかめなかった。それが私のやり方」。見つかったもの、経験してきたものは宝物だ。(樫)


写真:2001年から定期的にやっているLove Art展。有名であろうと無名であろうと、自分がよいと思った作品がよい作品ですよという作品展。8月にも予定している。

www.arakawa-art.net



La vie en France, il y a de cela un quart de siècle ARAKAWA Yôko, Arakawa Art Office, Tokyo

Yôko organise non seulement des expositions mais est également chargée de l’installation d’objets d’art dans les hôpitaux et les maisons de retraite et aide une galerie de porcelaines modernes. Si son travail actuel n’a pas de lien direct avec la France, le fait d’avoir vécu jadis en France y est pour quelque chose.

À Paris, en vivant à St Germain des Prés, elle avait remarqué que les habitants du quartier  entraient très naturellement dans les galeries d’art au moment de faire leurs courses quotidiennes. Elle avait été également surprise de constater que les gens offraient souvent des gravures comme cadeaux de Noël et que les Français décoraient leur maison avec des objets d’art originaux sans se soucier de la renommée de l’artiste. Yôko a trouvé très enrichissant ce genre de rapport à l’art.

Au bout de près de deux années de séjour, elle rentre au Japon et continue de travailler dans le domaine de l’art. Dix années passent et elle crée son agence «Arakawa Art Office» basée sur le concept de «joie de vivre» qu’elle souhaite transmettre à travers tout un ensemble d’objets artistiques.


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