農家・酪農家にとって晴れの舞台は、品評会。
農業見本市における最重要イベントのひとつが、CGA(コンクール・ジェネラル・アグリコール)という品評会だ。農林水産省のお墨付きで、1843年に始まったという長い歴史を誇る。動物の品評会には、牛、馬、羊、山羊、豚、ロバ、犬の7種、370品種、2300頭が参加予定だ。すでに予選を勝ち残ってきたという、美しい動物たちが、頂点を目指し競い合う。中でも牛の品評会には、毎年熱い視線が注がれる。
今年の品評会に参加する牛は約500頭。エントリーされた牛は、酪農家にとって宝そのものだ。酪農家たちの中には、会期中も常に牛の近くに待機し、早朝から世話ができるようにと、その場で寝泊まりすることを好む人も多く、寝泊まりできる場所も、会場内に特別に確保されているという。
品評会の準備は大変。数日前から牛のえさを厳重に管理し、体調管理に努める。お披露目直前には入念なシャワーとシャンプーが施される。その後に丁寧にブラッシングされ、クリッパージュと呼ばれる毛刈り作業が待っている。
評価の仕方だが、品種に則したスタンダードな形態であるかどうか、肉牛か乳牛といった目的に適しているかどうか、といった点が主に観察される。例えば乳牛であれば、乳房、安定性、身体能力などが、審判によって間近で判断されることになる。
本コンクールで受賞しても、金一封はもらえないが、CGAの記念プレートと名声が得られる。それは、そのまま品質の保証になり、市場価値が上昇するのはもちろん、その牛から生まれる子牛の価値もはねあがる。(瑞)
動物を間近で見たり、子供たちも大満足だ。
自分の体の10倍もありそうな牛を前に、驚きと喜びで目を輝かせる…、会場はそんな子供たちのイキイキとした姿でいっぱい。一番楽しんでいるのは子供たちといってもよいほどだ。
当然、子供向けのアトリエは充実している。「また行きたい」と親におねだりし、リピーターとなる子も多いはず。すでにリピーター候補のうちの子に、「去年楽しかったアトリエは?」と聞いてみると、すぐに「料理教室」という答えが返ってきた。小さなグラスに入ったデザート「ヴェリーヌ」を、ローズマリー、ハチミツ、ミカンで作ったのが、簡単でとてもおいしかったという。またガーデニング教室では土いじりの後、種を植えた鉢を持ち帰りできてうれしかったとか。さらに電気について学ぶアトリエでは、模型を駆使して風力、火力、太陽光、水力、原子力といったエネルギーの送電を模擬体験したのが、ゲームのようで面白かったそうだ。
一般に他の見本市では、子供の入場は無料の場合が多いから、最初は「農業見本市はケチだな」とも思ったのだが、実際に来てみれば、とりわけ子供にとってお得感が強いため、有料なのも納得。最後にはいっぱいのおみやげを抱え、親子ともどもホクホク顔で家路につく。
なお入り口や受付では、迷子防止の子供用ブレスレットを無料配布している。会場は混雑必至なので、小さな子には名前と携帯番号を記入したブレスレットを付けてあげよう。(瑞)