〈チケッティ〉という聞き慣れない言葉を耳にして以来、気になっていた店へ。チケッティとは、ワインのお供になる小皿料理のこと。ベニスにはチケッティがつまめるワインバーがたんとあるそうだ。
通常の1皿のボリュームでも頼めるが、やはりここはチケッティを2、3皿試したい。ナスのミルフイユや、タコ、ピーマンのローストとフヌイユのスープ(各9€)や、アーティチョークとカラスミのサルデーニャ風ニョッキ(10€)にもそそられたが、結局、スタッフおすすめの2品を注文した。
生クリーム入りのモッツァレラ、Burratina(9€)には、ローズマリーで香りづけたトーストが添えてあり、いい香り。チーズの上には、みじん切りにしたケッパー、オリーブ、マンゴー、ショウガがのり、塩味と甘み、香りがこん然一体となってなんとも美味だ。ブラティーナに合わせて選んだ、ドライな白、Sanrocco(7.5€/グラス)がすすむ。
そして、本日のおすすめ、アサリとバイ貝、ペコリーノチーズのパスタ(8€)が秀逸だった。ペコリーノがふんだんに使われているせいか、かなりこってりした味付けなので、ワインのお供に最適というだけでなく、パスタをおかずにパンも食べるというフランス人みたいなことも可能。オリーブ入りのパンもおいしく、小皿料理でもすっかり満腹に。
シメはエスプレッソに小さなデザートが3種ついてくる〈caffé goloso〉(10€)で。レモングラスとバニラで風味付けたリンゴのサラダとパンナコッタ、クレームブリュレに、濃いめのエスプレッソを味わって、食後もすっきりいい感じ。
昼なら、メインとチケッティ1皿か、カフェゴローゾで29€コースあり。チケッティ5皿45€、7皿59€、料理に合わせたグラスワイン3杯15€という、おまかせコースも狙い目だ。あれもこれもと頼んでしまうと、決してお安くはないが、土日も開いているし、オープンキッチンでシェフたちのお仕事ぶりが眺められるのも楽しい。(里)
Cicchetti
Adresse : 20 rue Clapeyron, 75008 parisTEL : 01.4522.4515
12h-14h30/19h-22h30。無休。 - 日曜営業 - 祝日営業 - 22時以降営業